吉本最弱芸人・おふろは、健康で文化的な最低限度の生活を「杉並で」営む権利を有する。 vol.1

吉本芸人おふろ
文章・おふろ(早崎 貴宏)
おふろ

ツブサを閲覧している「ツブサー」の皆さま、初めまして。

吉本興業所属の、お笑い芸人「おふろ」と申します。

今年で芸歴7年目。脂が乗って鮮度抜群といったところでしょうか。

お笑い芸人と名乗ってはいますが芸事で飯を食う事はままならず、時間と肉体を捧げて賃金を得る行為、いわゆるアルバイトをしながら生計を立てています。
つまり、吉本興業最下層に位置する雑魚芸人なのです。
ひとたび事件でも起こそうものなら「自称お笑い芸人」として報じられる事でしょう。
しかし雑魚といえど、魚は魚。いつか大海に出て一線級のどデカ魚になってやろうと日々あがいています。

そんな僕ら「おふろ」ですが、察しの良いツブサーの事です。
もう分かっているでしょうが、貧困のど真ん中にいます。
夢を追っているから。
ネタを作るのに忙しいから。
そんな真っ当でキラキラした理由でお金が無いわけではありません。
僕達は、寝たくて、飲みに行きたくて、ギャンブルしたくてお金が無いのです。
怠惰なのです。
ゆえに貧困なのです。
貧しくて困っているのです。
皆さま、救いようがないと感じたことでしょう。
そんなツブサーに伝えたい、

どうしようもない僕らでも「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」

そうです。
日本国憲法第25条により有しているのです、僕らでも有してしまっているのです。
健康で文化的ななんとやらを。
そうなると僕らのような、権利だけ主張して義務を放置している人間は黙っていません。

「いいじゃないか!俺らだって有しているんだからさ!杉並で楽しませてくれよ!」

という流れで始まったのがこのコラムでございます。
僕ら「おふろ」が普段、いかにして杉並を満喫しているかを皆さんと共有させてもらえれば幸いです。

全世界待望、記念すべき一回目はやはりこの街、高円寺。

待ち合わせは奇人の巣窟、高円寺北口ロータリー。

個人の自己紹介がまだでしたね。

左手に構える糸目の男が私です。大分県出身の早崎。31歳。諸々で借金700万円持ち。
右手に構える女子プロレスラーのような男が、福岡県出身の井上。痛風など諸々の病気持ち。110kg。

二人とも、2R通常を引いたような顔をしています。

そんな二人が、小学生の下校時間に向かう場所はこちら。

「餃子のとりいちず酒場 高円寺北口店」

北口から徒歩1分。ダッシュで30秒。井上で1分20秒。


ツブサーの皆さんの、物言いたげな顔が目に浮かびます。

チェーン店??

そう思った事でしょう。
ここで皆さまに問いたい。

最低限度とは何か。

僕らにとって最低限度とは、支払いに追われながら、望まぬ労働を行うモチベーションを持続する為、ご褒美がある生活。
そうなると、良き酒、良き食事は必須。
勿論、一人分を分け合うようなセコたらしい行為も皆無です。

そんな僕らは、背伸びしない事に慣れきっています。
かかとビタビタで擦るように日々過ごしています。
そんな僕らのリアルを紹介する為には、この至高のお店から始める以外あり得ません。

侮る事なかれ。

入れば全てがわかります。

注文は全てタブレット。
時代に即したスペシャル文明。
皮脂にまみれた指でもしっかり反応してくれます。

「まずはビールっしょ。」

思考を放棄した平成生まれの二人は、プレモル中生を注文。

直ぐさまテーブルに届いた黄金の炸裂水。
咽喉にぶち込むと、土気色だった二人の顔がみるみる紅潮していくではありませんか。
その味は、紛う事なきプレミアムモルツ。

驚くべくはその金額、なんと218円!

これには生まれてきた事を感謝せざるを得ません。
下校している小学生達にも伝えてあげたい、君達のいる世界は素晴らしい!と。

さあ、とりいちずは止まりませんよ。

人目を盗んで井上が注文していた、でか唐揚げ130円~皮串70円~。

こちらがテーブルの上に鎮座すれば、理性を保つのがやっと。

揚げ物を目の前にするとヨダレが止まらない過呼吸寸前のパブロフの豚。
あとは椎名林檎よろしく本能に身を任せ、かぶりついてしまえば、、

ナース服を着てガラスをぶち破られたかのような、衝撃の肉汁が飛び出します!

その抑えきれない肉汁により、脳汁を過剰分泌した者の末路がこちら

まさか居酒屋でアヘ顔を晒す事になるとは思ってもみませんでした。
出来れば、ダブルピースも出したかったぐらいです。

あとは酒池肉林が如く、かっ喰らうだけ!
合法的なトビ方を知りたい方は、ぜひご来訪ください。

こうして、長く短い祭も終わり。
お天道様がタイムカードを切る前に楽しみ切った僕達は、顔を赤らめながら、妙な万能感を身に纏いつつも、この後特に予定が入ってる訳でもないのでぽつぽつと家路に着くのでした。

今回は高円寺なので問題ありませんでしたが、僕達はどこで飲もうと徒歩での帰宅を試みます。
そんな時、給水所のような役割も果たしてくれるチェーン店。
飲み会の前にウォーミングアップとして軽くキャッチボール相手になってくれるようなチェーン店。
月光差し込まぬ深い夜でも、人生の冒険者達を何食わぬ顔でもてなしてくれているチェーン店。

未だ人生ゲームで良きマスに辿り着いていない僕達「おふろ」ですが、とりいちずのような素晴らしいお店に支えられて「健康で文化的な最低限度の生活を営む」事が出来ています。

ここまで皆様の貴重な時間を使ってご一読いただきありがとうございました。
今後も何かにつまづいた時、挫けそうな時、用を足している時、僕達が杉並で営んでいる「健康で文化的な最低限度の生活」を覗きにいらして下さい。


※次回の更新予定は、5月初旬頃を予定しております。

プロフィール

写真左:早崎 貴宏(はやさき たかひろ)

1990年5月26日 ふたご座 AB型 右投右打
吉本興業所属 お笑いコンビ”おふろ”として活動中。
小学生の頃に兄の影響で野球を始め、大学の野球部で相方の井上と出会う。
現在は、父の影響で始めたパチンコで抱えた借金を返済しつつお笑い活動をしている。