古くから多くの文化人やアーティスト、そして夢を追う若者たちが集うこの街に、また一人、自らの才能と情熱を信じて舞台に立ち続ける若きお笑い芸人がいる。ワタナベエンターテインメントに所属する芸歴4年目のお笑いコンビ ダンダンビヨリの平澤ケンだ。
明治大学を共に卒業し、周囲が当たり前のように就職活動をして社会人となっていく中、彼らは自らそのレールを降り、保証のない厳しい「お笑い」の世界へと飛び込んだ。ネタ作りを担当する平澤は192cmという長身を誇り、舞台上で独特の存在感を放ちながら、今も泥臭くお笑いへの挑戦を続けている。
今回はそんな彼に単独インタビューを敢行。エスカレーター式の学生生活を捨ててまで、なぜ彼はお笑いの道を選んだのか。数ある街の中から、なぜ阿佐ヶ谷という街に根を下ろしたのか。お笑いに対する熱い思いから、阿佐ヶ谷での日常まで。等身大の若手芸人の「今」を、たっぷりと紐解いていく。
目次
エスカレーター式の学生生活から一転。お笑いの世界へ飛び込んだ理由

ー 地元は東京なんですよね!どのような学生時代を過ごされたのでしょうか?
平澤:実家が明大前で、中学からは東中野にある「明治大学付属中野中学校」に進学しました。そこから大学までずっとエスカレーター式だったんです。定期テストの時だけちょっと徹夜して勉強すれば、ある程度の成績が取れて、まあ大学も別に行けちゃうような環境で。だからそのまま明治大学に進学しました。いや、、超親に感謝ですけどね!!親のお金で大学まで行かせてもらっているので。
ー エスカレーター式とはいえ、中高は私立ということで、周りには裕福なご家庭の同級生も多かったのでは?
平澤:そうなんですよ。周りは多分みんなお金を持ってるんです(笑)僕も同じ部類なんだと思われると思うんですけど、その中にいると僕はまぁお金もそんなにない方だったんで。高校1年の夏ぐらいに初めてスマホを持ったんですけど、学校の中というか、サッカー部の中で僕が一番最後でしたね。同級生には「おじいちゃんからお年玉100万円もらった」みたいなやつがいたりするんで、すごい世界ですよね。いやでも、明大前が実家って特殊なことなんだなと、大学を卒業してようやく気づきました。すごく恵まれた場所に住んでたんだなって今になって思ってます。
ー 明治大学まで進学されたとなると、卒業後は一般企業への就職という選択肢もありましたか?
平澤:周りの同級生はみんな普通に社会人になって働いていますね。学生の頃から「お笑いをやりたい」と思っていたんですけど、今思えばただ働きたくなかったんだろうなっていうか(笑)
でもやっぱり、お笑いの世界に強く憧れていたんだと思います。一応経済学部だったんですけど、全然勉強してなくて。大学生活はもろコロナの時期だったから急にリモート授業になって、家でふんわり授業を受けていたら単位をいただけて、ありがたかったですね。
ー そこからお笑いの道へ進もうと決意した経緯を教えてください!
平澤:大学時代にラジオをすごい聴いていて、お笑いのライブも少し見に行ったりしていたので、やんわりお笑いが好きだったんです。大学の時に、今の相方と一緒に誰でも出られるフリーのライブにちょくちょく出るようになって。まあやってみて楽しかったから、なんとなくそのまま気づけば芸人になっちゃってましたね。
ー お笑いで影響を受けた方はどなたですか?
平澤:一番影響を受けているのはオードリーさんです!ラジオもずっと聴いていましたし、僕が大学生の頃に武道館でライブをやっていて、それにすごく影響を受けました。あとは同じ事務所だったらハライチさん。とにかくラジオをめちゃくちゃ聴いていたので、そこですごく影響を受けています。
ー 養成所に入る際、なぜワタナベエンターテインメントを選んだのですか?
平澤:大学を卒業してから養成所に1年間通ったんですが、当時はワタナベが一番いい事務所に見えたんですよね。吉本だと芸人の数もものすごく多いので、ちょっと埋もれちゃうんじゃないかなとか思って。心配性というか、あんまりガツガツ前に出るのが得意じゃないかなと思っていて、ワタナベは雰囲気が良さそうだったし(笑)それで選びました。
大家さんからジャガイモ⁉︎ 阿佐ヶ谷での等身大な日常

ー 現在は阿佐ヶ谷で一人暮らしをされているそうですね!実家を出られたきっかけは?
平澤:親父が「自立するんなら別に好きなことしてもいいけど、実家にいるんだったらナメたことしてんじゃねーぞ」っていうスタンスで。その圧を感じて、慌てて一人暮らしを始めました(笑)今はバイトをしながら生活しています。
ー 数ある街の中で、なぜ阿佐ヶ谷を選んだのでしょうか?
平澤:これはもう養成所とか劇場の行きやすさですかね。JRも使えるし、南阿佐ヶ谷まで行けば丸ノ内線も使えるし、荻窪も近いし。ワタナベの養成所が中目黒だったんですけど、中目黒も比較的行きやすかったんです。それに高円寺や阿佐ヶ谷には同期も結構いるし安心感もありますよね。
ー 実際に阿佐ヶ谷で暮らしてみて、いかがですか?
平澤:住み心地めっちゃ最高ですね!やっぱり家賃が安いからいいです。とはいえ最近の阿佐ヶ谷はどこも高いらしいんですけど、それでも今住んでいるところは安くていいところで。今の家は大家さんがたまに野菜とかを届けてくれて、ぬくもりのある優しい物件で助かっています。この前なんか、一人暮らしでこんなに食べれるわけないだろうっていう量のジャガイモをいただいて(笑)大家さんが農業をしているからくれたんですけど、でもなんかそういうの、阿佐ヶ谷っぽくていいですよね。
ー 休みの日はどのように過ごされているんですか?
平澤:お笑いをしていない時は漫画を読んだり、最近はちょっと料理を作ってみたりしています。YouTubeでレシピを見て、たくさん届いたジャガイモを調理して、みたいな。漫画はもうベタに『ONE PIECE』が大好きです。月曜日になった瞬間、すぐに「ジャンプ+」のアプリを開いて読んでいます。でも全然ダラダラ家で過ごしている時もあるし、飲み会とかもあんまり行かない方かも。大人数だと自分が思うままに喋れないじゃないですか(笑)だから結構少人数が好きですね。2〜4人ぐらいまでの方がやっぱり楽しいです。まあ、全然誘われたら大人数の飲み会とか行く時もありますけど。

ー 阿佐ヶ谷周辺で飲みに行くこともあるんですか?
平澤:阿佐ヶ谷も高円寺もよく飲みに行きますね!芸人以外にも、いまだに高校の同級生とかと一緒に飲みに行ったりもします。阿佐ヶ谷は安くて美味しい飲み屋がたくさんあるので最高です。居酒屋だと「越川」っていうところがおすすめですね。有名なところで、同期ともよく行きます。刺身も唐揚げもめちゃめちゃうまいです。
相方から突然の「サッカー選手になりたい」宣言で解散の危機⁉︎ 紆余曲折を経て見据える場所
ー お笑いのネタは平澤さんが書かれているそうですね!「メルカリで元カノにあげたスノードームが出品されている」や「友達の順位を決める」といったネタの着眼点が非常に面白いですが、あれは実体験からきているのですか?
平澤:そう言ってもらえてうれしいです!一応ネタは自分が書いていて、メルカリのネタは、相方が本当に彼女に振られて絶望しているのがすごい嬉しくて(笑)
「もしこういうことあったらどうすんだろう」と思って書きましたね。友達に順位をつけるネタは…全然、友達に順位つける派ですね(笑)いや、みんな心の中での順位はあるだろう!!って思ってます。
ー 相方のジュライさんとは高校からの同級生とのことですが、ずっと仲良しだったんですか?
平澤:10年ぐらいの仲で、2人でもよく遊んでいました。ただ僕は高校時代、友達が多かったので(笑)でも信用できる友達ではありましたかね。全然喧嘩とかもするし、よくぶつかったりもするけど、仲はいいかなと。
ただ僕らは半年前に一回解散したんですよ。相方が急にサッカー選手になりたいって言って。それで、5日後には「やっぱサッカー選手無理だと思うから芸人やりたい」って戻ってきて。やばいですよね。ほんとメンヘラ野郎みたいな相方なんですけど。
ー なぜ急にサッカー選手に⁉︎
平澤:別に全然サッカーが上手いとかでもなくて(笑)高校時代サッカー部だったんですけど、あいつずっとベンチだったし、卒業以来8年ぶりぐらいにちょっとサッカーしたら、やっぱ選手になりたくなってきたらしくて。なんなんですかね。本当に不思議ですよ。マジで意味はわからなかったけど、解散してサッカー選手になりたいとか言われちゃったらもう止めるに止めれないから、1回飲み込みはしましたね。結局すぐ5日で戻ったけど(笑)
ー 芸歴4年目となり、現在のご自身の状況をどう捉えていますか?
平澤:全然まだまだ、本当にまだまだで売れていないんですけど、本当にちょっとずつ、ちょっとずつ成長してるのかなとは思っています。だから「結果でろ!」って思いながら今は毎日生活してますね。
普段は浅草の「浅草リトルシアター」という劇場に週1で出ていたり、最近は出たかったライブにも呼んでもらえるようになったのでうれしいです。あとは最近ようやく事務所ライブにも出られるようになりました。
ワタナベは大きなライブだと「WEL」と「WEL NEXT」という注目されている事務所ライブがあって、それ以外にも事務所ライブに出るのにそもそもオーディションがあるんですけど、ずっと落ちてて。ただ最近はそのオーディションにも受かるようになったので、これは目にみえる結果が出て一旦良かったかなと。綺麗な劇場で、恵まれた環境でやらせてもらっているのでありがたいですね。
ー 仲のいい芸人仲間はいらっしゃるんですか?
平澤:誰だろう…こういう時にいないって言うとすごい怒られるんですけど。海老車のサエキとか仲良いかな。先輩だとラマヌジャンさんとか。いやでも、あんまり可愛がられてもないかもしれないですね、人に。客観的に見て、なんか生意気なんだろうなって思います(笑)
ー やっぱりネタをしている時が、今は一番楽しいですか?
平澤:いや、そんなことはないですね。そんなことないとか言ったらダメなんですけど…やっぱり「ネタしてる時が一番楽しい」って言いたいですよね、かっこいいし。ウケたら楽しいけど、ウケるのがなかなか大変だし、やっぱり何かしら勝ったとか、M-1でいいところにいけたとか、そんな結果が出た時の方が嬉しいかもしれないです。結果を出すって本当に難しいので、辛い時間の方が長いです。マジで今何してんだろうなーってふと思う時もありますよ。
ー 最後に、今後の目標を教えてください!
平澤:M-1はやっぱり決勝に行きたいですし、それこそラジオとか、冠番組とかもいつかしたいなとめっちゃ思いますね!喋るのがとにかく好きなので、たくさん喋りたいです(笑)
そのためにも、これからも泥臭く少しずつ結果を残していけたらなと思っています!
【ダンダンビヨリ・平澤ケン】プロフィール

ダンダンビヨリ・平澤ケン
1999年、東京都出身。ワタナベエンターテインメント所属。
芸歴4年目、明治大学出身の同級生コンビ「ダンダンビヨリ」として活動中。
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【取材執筆・写真家 伊藤夏希】プロフィール

伊藤夏希
1998年、宮崎県生まれ、高円寺在住。
武蔵野音楽大学を卒業後、写真家 / 音楽家として、東京・宮崎を拠点に活動する。
2023年に開催した初の写真個展「この街で生きた、あの頃のこと。」を機に、これまでに計7回の写真展を行うほか、“伊藤日記”での名義でカフェやイベントを中心とした演奏活動、音楽配信も行う。
2026年6月23日〜30日、下北現像所にて8回目となる写真展「ピザ、廃墟、船を漕ぐ」を開催。


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