高円寺散歩 ・究極のさいふなし旅?!「ご自由にお持ちください #後編」【杉並さいふなし旅 vol.3】

高円寺

高円寺在住デザイナーのよしだあさみです。

この連載では、お金や何かを多く持っていることだけに限らない「豊かな活動」にまつわる情報を発信しています。

前回、杉並でよくある「ご自由にお持ちください」について書きました。

今回も前回に引き続き「無料で楽しめた!」にフォーカスして、後編をお送りします。

それではどうぞ!

高円寺散歩「JULAY chai stand」ご自由にどうぞ

道端でゲリラ的に開催される「ご自由に」文化。
それを店頭のスペースで開催しているお店を発見!

JULAY chai stand 高円寺

高円寺北口、北中通り路地裏の本格的チャイスタンド。

じめっとした梅雨時期、コーヒーでもお酒でもないんだけどパンチが欲しいな〜という時にピッタリの香り高いスパイスの効いたチャイは絶品だ。

このお店では過去「ご自由にどうぞ」BOXを店頭に設置していた。

私がおもしろいと感じたところは、開催理由が「杉並のテイクフリーの文化が好きだから」という点だ。
「ご自由にどうぞ」は、もはや文化として認識されているのだ。

確かに「ご自由にどうぞ」は、もらわなくても道端で見つけると嬉しくなったり、つい誰かに伝えたくなる。
誰かの想いが連鎖していく感じが、私もたまらなく好きである。

なおこちらの「ご自由にどうぞ」BOX、現在は場所の関係で設置していないが、今後また機会があれば設置するかも、とのことだ。

もしも出会えたらラッキー、という気持ちで本格的チャイを楽しみに足を運んでみては?

新高円寺散歩「ゆ家 和ごころ 吉の湯」買ったら無料でついてきた

前回記事の後編で紹介した「買ったら無料でついてくる」形式。
無料になるのは「モノ」だけではない。

こちらは杉並区成田東という、善福寺川や永福町方面にある銭湯。
ゆ家 和ごころ 吉の湯

こちらはサウナブームの火付け役となったドラマ「サ道」でも登場した人気の銭湯サウナ。

公衆浴場料金480円で入浴できるのに、まるでどこか旅館にでも来たかのような露店風呂とサウナを備えた銭湯である。

サウナ好きの私は「サ道」紹介前から通っている、愛すべきホームサウナ。


こちらの銭湯、ポイントカードがあるのをご存知だろうか?

HPにも目立つところには掲載が見つからないし、私ももはや初めはどうやって知ったのか覚えていないのだが…。

なんとこちらでは、サウナ5回利用で、次回の1回分のサウナ料金が無料になるのだ!

※別途銭湯入浴料金はかかります。


常連の私にはなんとも嬉しいサービスだ。

ここの銭湯は、受付で申し出ればパウチタイプのボディーソープを無料でいただける、
曜日限定で露店風呂のつぼ湯が黒美水温泉になるなど、

通えば通うほど新たな魅力を発見できるおもてなし精神満載の銭湯なのだ。

まだ行ったことのない方はぜひ一度足を運んでみてほしい。

高円寺散歩「MÖWE COFFEE ROASTERS」ご自由にどうぞ+買ったら無料でついてきた

高円寺にあるコーヒーショップMÖWE COFFEE ROASTERSでも、無料サービスが豊富だ。

MÖWE COFFEE ROASTERSは、スペシャルティコーヒーを取り扱う自家焙煎のコーヒーショップ。

高円寺北口の大将を60歩ほど進むと見えてくる、この外観とお隣のヘアサロンが目印。
焙煎師とマスターのお二人で営んでいる。

コーヒーといえば断然深煎りでしょ!
と思っていた私が、浅煎りの魅力にどっぷりハマるきっかけとなったこちらのお店。

フォローしているSNSでの発信でも度々見かける「ご自由にどうぞ。」

自家焙煎で販売しているコーヒー豆を200g以上購入すると、ドリンクを1杯サービスなどもある。

これはきっとなにか無料に込められた想いがあるはずだ!と感じ、取材をこころみた。

高円寺「MÖWE COFFEE ROASTERS」に無料に込められた想いを取材

ご自由にどうぞの背景

ーーお花や麻袋などを店頭で「ご自由にどうぞ」にされていますよね。背景はどういったものでしょうか?

もったいない精神や、お客さまからいただいたものは捨てるに捨てられないというのもあります。
高円寺の他のお店を見ていても「ご自由にどうぞ」をされていて、楽しそうにそれをもらっていく人を見かけ、自分が使わないものでも、誰かにとっては必要だったりすることがあるかと思います。
捨てるよりも誰かにもらって喜んでもらえた方が良い循環だし、ごみも減らせるし、との考えから行いました。

ドリンクサービスについて

ーー店の看板にも書いてある「コーヒー豆200g購入でエスプレッソ系ドリンク1杯サービス(テイクアウトも可能)」をやっている理由はどういったものなのですか?

当店は自家焙煎で、焙煎から2週間以内の新鮮な豆を販売しています。
コーヒー豆は焙煎してから、飲み頃の状態になるまでは大体3週間〜1ヶ月後ごろ。
エイジングによる味の変化も楽しんで欲しいのですが、100gだと量的には味の変化を楽しんだり、飲み頃になる前にもうなくなってしまう。
なので、お客様に味の変化を楽しんでもらうためにと考えて始めたサービスです。
他には、エスプレッソで飲んだ時のお店の味を覚えておいてもらい、次回豆を購入する時やご自宅で淹れる時の参考にしたり、色々な種類の豆の味を楽しんで欲しいという理由もあります。
焙煎師とマスターの出身である関西のコーヒー屋さんでは200g購入でのドリンクサービスをやっているお店が多く、そういう文化のところで育ったから、という背景もあります。

他のさまざまな取り組み

ーー他にもお店では、色々と無料の取り組みがありますよね

はい、当店では「かもめ文庫」や「アートギャラリー」を開催しています。

・かもめ文庫
店内に設置してある交換制の本棚。
自分が読まなくなった本を1冊持ってきて、好きな本を1冊持ち帰れる。
高円寺では高架下や店頭でもよく見かける文化。
もともとはお客様から募った本でスタートしたという。入れ替わっていく変化も楽しい。

・アートギャラリー
店内の壁面では定期的に入れ替わるアート作品の展示。
駆け出しのアーティストを応援したいので、つながりで開催しており、出展料などはとっていない。
アートきっかけでコーヒーに興味を持ったり、逆も然りで新たなつながりができたらとの思いから開催。

参加費無料の朗読会について

ーー最近では無料の朗読会も開催してますね。どんな理由から始められたのでしょうか?

開催理由の根底には、お店のコンセプトとして17世紀イギリスで流行ったコーヒーハウスのような、街の人々の「文化の交流の場」を目指しているというのがあります。
ただ、当時のコーヒーハウスは男性しか入れなかったので、当店ではそうではなくジェンダーレス、ボーダーレス、ジャンルレスに誰もがコーヒーを通して、アートや文学などの文化を楽しめる場所を作りたいと思っています。
朗読会に関しては、当店で扱っている浅煎りのコーヒーには余韻が長いという特徴と、風味が繊細なので甘さの強いフードとのペアリング(組み合わせ)では味が負けてしまうという点から浅煎りのコーヒーの特徴を活かしたペアリングってなんだろう?と考えた時に、焙煎師が本が好きということもあり、フードに限らずとも、本とドリンクをペリングする体験を提供するという考えに至り、始めた取り組みです。
みんなで一つの場で共有できる何かをしたいと考えていたので、開催を決めました。
コーヒーを飲みながら著作権フリーの文学作品を参加者で朗読することを通して、文化の交流の場を作っていきたいです。

ーー今後の朗読会の展望はどういったものでしょうか?

朗読や文学、文字を書くことに関心のあるお客さん同士がつながったり、
自分で作った文章をみんなで朗読するなど広がっていったら良いなと思っています。
店内では文鳥文庫という短編小説とコーヒーとのペアリングセットの販売もしています。
私たちはコーヒーはもちろん好きですが、ただコーヒーを淹れるだけでなくコーヒーをきっかけのツールとして、何かを生み出したいという想いが大きく、そういう想いからいろいろなサービスを行っています。





日曜の朝からコーヒーを飲みながら、文学に触れる。
なんと豊かな時間だろうか。
取材を通して「無料」に込められた想いを知ることができた。

お金や何かを多く持っていることだけに限らない豊かな活動を紹介している「さいふなし旅」的にはこういう価値観を広く推奨していきたいと共感した。

最近では毎週水曜日の10時〜無料配信のラジオも始めたお二人。
普段はじっくり聞けないコーヒー豆のお話や、お店で開催されるイベント情報、
さらには高円寺にまつわる情報紹介コーナーもあるトーク番組。
ライブ配信だけでなくアーカイブでも視聴できる。


お店の詳細↓



ご自由にお持ちください、を深掘りしていくと
それぞれの想いがあるということを改めて感じることができた。嗚呼、豊かである…。

私も私なりの豊かさの連鎖を、この連載を通して今後も広げていきたい。

次回は「パートナーと楽しむ!杉並さいふなしデート」を紹介予定です。

ライタープロフィール

よしだあさみ

よしだあさみ

高円寺在住のデザイナー
杉並の街の銭湯・サウナ・純喫茶・古いものをこよなく愛し、ぶらりと散歩、観察する。

幼い頃から工作(特に紙)が好きで、創意工夫によって生きる力を培う教育の大切さを広めたい人。
デザインした工作キットを使った、高円寺の街に関するワークショップの活動も行う。

いつか高円寺アパートメントの片隅なんかで、いつでも遊べる工作ビュッフェのような
しかけ絵本ワークショップができるカフェ空間を創りたいとひっそり夢見ている。

情報を編集し、わかりやすく視覚化して伝えるデザインにやりがいを感じる。

・note(もっと自己紹介)
https://note.com/asamix1231/n/n554252bdb3f0

・folio(お仕事一例)
https://www.foriio.com/asamix068

・Instagram(はこ作品)
https://www.instagram.com/tiny_tiny_box/