あなたにとって「良い暮らし」とはどのようなものですか?
”高円寺の女王”と物騒なキャッチコピーで呼ばれつつも、
超庶民派ミュージシャンのうじょうりえが
高円寺の目線で「良い暮らし」を伝えていく
高円寺の”庶民派”女王・のうじょうコラム
9月度お送りします!
目次
大らかさ
あまりこれだからこうって決め付けるのは好きじゃないけど、土地柄っていうのはあるのかもしれない。
8月に山口と島根にライブをしに行ってきた。
誘ってくれたのが阿佐ヶ谷に住んでいた山口出身の方。
昨年11月に自分の地元に歌いに来て下さいと言ってくれて初めて山口に行って、今回は2回目。
この時期にしてもらったのはわたしが海が好きでただ綺麗な海で泳ぎたかったから!!
8/1〜8/7までの長い遠征。
1週間東京から離れたの何年ぶりだろう。
もしかしたら上京してから1度もないかもしれない。
あれだけホームシックだったわたしが、遠征に行っても帰りたくないと少しは思えるようになってきた。
山口島根は景色が綺麗だし食べ物はどれも美味しいし、東京のじめっとした酸素が薄い暑さじゃなくて(湿気多過ぎて水中なのかってくらい息苦しい、湿度80%とかもう水じゃない?)
からっとしてて日差しは強いけどなんだか気持ち良い。
空気も海も綺麗で見たことのない色の虫もいたりして、夏休み中の小学生のようにはしゃいだ。
土地として素敵ポイントを上げたけど、何より帰ってきて思い出すのはそこにいる人達の人柄。
わたしはやっぱり中にいる人で土地を感じてしまう。
大らかという言葉で表現するのが1番しっくりくる。
優しいの一言だけでは浅はかかな。
優しさって上手くやれば見せびらかすことができて、押し付けることができて、演じることができる。
でも出会った人達はそんなことを全くせずに、人が気付かない内に優しさを与えてくれていた。
誰にも気付かれない優しさなんて自分は絶対に得をしないのに、それでも息をするくらい当たり前にしていた。
きっとこの人達は今までに色んなことがあって傷付くこともあっただろうに
その上で人が何を考えてるかとか、幸せとはどんなものだとかを体のどこかで感じていそうだった。
自覚があるのかは分からないから、わたしの目線で見えたものになってしまうけど。
他の土地に行ったけど帰ってきたり移住してきたって方も多いから、間違ってないのかもしれない。
泊まった暁家という萩のゲストハウスもすごく不思議な場所で家みたい。
たまたま同じ日に泊まった人達で一緒のテーブルでご飯食べたり、おかえりって言ってくれたり、まるで家族で
オーナーさんは泊まる人に必要以上に干渉することもなく、でも相談も聞いてくれて、暁家のすぐ隣にある菊ヶ浜の海みたいな人だった。
いつも大らかな、海のような心で歌いたいと意識しているんだけど
大らかさというのはすぐ身に落ちるものではないんだと思い知らされた。
わたしはまだまだ未熟だ。
「ここには何もないけど何でもある」
って言ってた人がいた。
そこにあるものを受け入れて幸せを見付けているんだろうな。
イベントでお世話になったご夫婦が飼ってるワンチャンが元々補助犬の訓練受けてたんだって
でもその子好奇心旺盛でおもちゃが大好きだから適正がないと言われたそうで(かわいい)
それでご夫婦の元に来たから、ワンチャン可愛がってもらえて幸せですねって言ったら
「あの子が幸せか分からないけどね。でもわたしは幸せ。」って言ってた、お母さんの笑顔が忘れられない。全てが詰まってた。
ご夫婦に島根の海に連れて行ってもらってワンチャン達とも一緒に泳いだ。
こんな生活もいつかしてみたい。
料理家の月森紀子さんには特にお世話になって、お料理会で沢山歌わせてもらった。
植物性100%のお料理やお菓子を作る方で、料理に対する姿勢とか生きることの考え方とか、ずっと聞いていたくなるくらい芯がある。
こんな方に呼んでもらえたのが誇らしかったし、素敵な人達と関わっていける人生を歩めるように頑張りたいなって改めて思った。
わたしはあまりアップルパイ好きじゃなかったんだけど、彼女のアップルパイのお陰でたまに食べたくなるようになった。
オーガニック系のクッキーを別の場所で食べたら美味しいんだけど予想通りで、動物性の食材を1つも使わないであんなにまろやかで想像を超える食べ物を作れる月森さんってとんでもない人だと再認識した。
ホームページ載せておきます。
東京の冷たい風を感じながら思い出に浸る。
それでもわたしは東京が好きなんだ。
遠征先のライブでもこの事を話した。
東京で揉まれながら、どこかに行ったときの気持ちをたまに持ち帰ったりしながら、今いる場所で曲を作りたい。
それを持ってまた出掛けるくらいがいいんだろうなって思う。
毎日繰り返すくらいの小さな出来事しか起こらなくても、わたしは見落とさずにいられるかな。
目の前のことをちゃんと大事にできるかな。
そんなことを考えながら過ごしてる。
この気持ちがわたしのお土産。
高円寺阿波おどり2024レポート
阿波おどりの日になると開くパル商店街の屋根が好き。
コロナで開催されない年がありつつも昨年から復活した阿波おどり。今年もやってきた!
しかしながら祭りではしゃいでばかりのわたしは、昨年から演舞をちゃんと観るようになった愚か者です。
今までを後悔するほどに阿波おどりすごかった。
例え誰もが書こうとも、わたしの阿波おどり2024をここに書かせてもらう。
阿波おどりスーパー素人だからこそ感じたことを書いていくので、お手柔らかに見てもらえると有り難い。
去年観た「のびゆく連」が推し連になったのもきっかけで、今年は更に阿波おどりをじっくり観た。
のびゆく連は歩きながら横目に阿波おどりを観ていたわたしのまず耳から射止めた。
「なんだかこの連の音可愛いな」と思って観たら、踊りも衣装も可愛くて気になってしまった。
阿波踊りのパンフレットを見たら女性やお子様が多い連だそうで、太鼓などの楽器も合わせて敢えて重くない音にしているように見えて
音と踊りが粒になってまとまっているのが気持ち良い。
パンフレットには阿波おどりの見所、どこの連がどこからスタートしてどう回っていくか、連によっては紹介文なども載っている。
ちゃんと演舞を観ようとする人にとってはかなり便利なので来年行く人は必ずもらってほしい。
このお陰でわたしも観たい連を追っかけられた。
全部ではないけどとにかく色んな連を観て思ったのだが、楽器も演奏も踊りもそれぞれ違くて個性が溢れていた。
なんとなくロックを感じる演奏もあったり、連の名前にちなんだ動きをしていたり、なるほどー!となり目が離せなかった。
中でも度肝を抜かれたのが天水連。
すごいと噂を聞いていたのだが、聞いていなくても、頭に鳴らした金物の音から鳥肌が立った。素人のわたしでも分かるレベルで。
人ってすごいものに遭遇したとき体がゾワゾワするんだね。最後の方には涙が出そうになってた。
説明いらないと思う、とりあえず観て欲しい。
終了の20時直前は各連が通常より間を空けず次々と演舞を開始して、連の境目が曖昧になっていって
そしたら観客の人も踊り出して、皆もみくちゃに楽しそうな顔をしていたの、感動したな、、!
通り沿いのマンションの部屋から観てた人達も拍手喝采、ライトで称賛を送って
街の中歩いていく連の人達は「ありがとー!」って声を掛けられてた。正にヒーロー。
これぞお祭りだった。
お店の敷地内も場所取りOKだったり、
何も買わなくてもお手洗い貸しますって表に書いてくれてるお店もあったり(わたしが見付けたのはラーメン屋の火の鳥73。近い内絶対に食べに行く)
ドーナッツ屋フロレスタのイートインがお神輿置き場になっていたり
街全体がお祭りに協力してるんだなって光景も気分が上がった。
わたし高円寺好きで良かったな。
この景色がずっと続いて欲しいなって思った。
美味しい物を食べたとき、素晴らしいライブを観たときなどに心からありがとうという気持ちになる。
高円寺の阿波おどりに感謝があった。
次回は、10月初旬の更新予定です。
ライタープロフィール
のうじょうりえ
千葉県出身、高円寺発。
キャッチコピーは人間大好きシンガーソングライター。
「高円寺の女王」の異名も持つ。
コロナ禍現在も東京を中心に月10本前後のライブに加え、路上ライブ、配信、遠征ライブなど精力的に活動。
音楽で生計を立てている。
高円寺を愛し盛り上げたいという思いと、高円寺駅を土日祝日も快速が停まる街にしたい、という秘かな野望がある。
地元千葉への愛も忘れず、台風15号の際チャリティー路上ライブを行い、集まった¥83,890を千葉県へ全額寄付している。
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