ツブサをご覧のみなさんおはようございます、ライター・ピアニストの伊藤夏希です。
高円寺に関わる“若者”にフィーチャーし、その人の生き方や考え、高円寺にまつわるエピソードを深掘りしていく連載「高円寺、若者たち」。
今回紹介するのは、高円寺在住の「青」さんです。
僕と青さんの出会いは2年前の冬。
就職活動と卒業試験に悩まされていた大学4年生の頃、高円寺のガード下にある「まぐろんち」で、ひとりでお酒を飲んでいるときに、たまたま居合わせたのが始まりです。
それからというもの、仕事終わりや休日になると、よく高円寺の飲食店へ一緒に足を運んだりするような仲に。
普段はアート産業を支える画材を扱う会社で、商品管理と一部SNSまわりの仕事をしながら、3人組のアートユニットも組まれて精力的に活動されています。
そんな青さんですが高円寺での暮らしは6年目になるとのこと。
この街で過ごすということ、そして20代から30代へと変わるこれからの“生き方”について迫っていきます。
目次
なぜかこの街から出られなくなった
地元が田舎なこともあって、東京に対する漠然とした憧れがあったんです。
社会人になってからはスーパーやファミレスがひとつしかないような、横浜の静かな奥地の方に住んでいて、転職のタイミングでどこに住もうか考えたときに、高円寺や阿佐ヶ谷、荻窪などの中央線沿線がいいな~と何となく考えていました。
サブカルは好きっちゃ好きだけど、それがあるから「高円寺」というわけではなくて。
本当になんとなく、名前の響きとかも良いなと思って高円寺に住むことを決めました。
高円寺は基本的になんでも揃う街で、生活する上で“これがないから困る”なんてことがない、ほんとに高円寺の中だけで生きていけるんです。
前にテレビで高円寺が取り上げられていたとき、駅前広場でインタビューを受けた人が
「夢を追ってこの街に住み始めたけど、結局その夢は叶えられていない。でもなぜかこの街から出られない。」
なんてことを言っててすごく共感しましたね。
高円寺は街の雰囲気も良く、あまり民度が高くない自由な感じもしますが…でも逆にそれが“なんでも許される街”という居心地の良さにつながっているような気がしていて、気づけばこの街に住み始めてもう6年目になりました。
1を100にするような仕事
高円寺に引っ越してから始めた今の仕事は、アート産業を支える画材などを扱うお仕事です。
全国の小売店に画材を卸したり、自社で画材の製造なんかも。僕はその中で商品の管理と一部のSNS周りなどを担当しています。
なんでこの仕事をしているかというと、中学生の頃から吹奏楽でホルンをしていたのもあって、広い意味での芸術に関心があったんです。同じ人でも使う楽器が違うと音が違ったりするじゃないですか。
美術作品も同様に、道具1つで作品のニュアンスが変わるんですよ。
決して楽しいとは言えないけど、0を1にするよりも1を100にする作業の方が個人的には得意で、やった分だけ結果が出るので今の仕事を続けています。
でも本音を言うとマーケティング系の仕事がしたいなぁと。
前の会社でしていたのもあるけど、元々物事を分析するのが好きで、WEBサイトのアクセス解析やSNSの分析とか、データを収集した上で事実を論理的に述べるような仕事ができたらなと思っています。
どんな20代だっただろう
20代前半は引越しや転職など物理的に環境が変わったり、経済的に苦しんだりすることも多くて。
ちょっと社会が面倒になって半年間くらいフリーターになってみたりもしました。
自分の中で大きな出来事がたくさんあった怒涛の日々でしたが、社会の仕組みも学べたし、個人的には大きく成長できたんじゃないかなと思っています。
それに比べて20代後半は正直あまり成長していなくて、ずっと停滞してたように感じています。
特段大きな出来事もなければ、仕事も変わらず普通。とにかく普通な日々だったけど別にそれが嫌ではなかったし、今もその生き方に全く後悔していません。
未来はいつでも明るくて
将来に対する不安とかは正直あまりないです。なんなら仕事もいつ辞めても良いなと思っているくらい。
どういう生き方をしたいかと言われると難しいけど、自分の中で未来はいつでも明るくて、自分が興味を持つであろうこと、楽しいと思えるであろうことに出会えるかもわからないから、とにかく自分が好きそうな、興味が湧きそうなことを、まずは少しづつやっていきたいなと思っています。
それで最近はラジオが好きだからポッドキャストを始めてみました。
自分の声は嫌いだけど、文字じゃなくて声で発信したかったんです。元々自分がラジオを聞くのが好きだったのもあって、学生の頃「続いては交通情報です」みたいなことを友達に向けて発信して遊んでいたんですよ(笑)
誰かの反応を見るのが楽しいというよりも、日々生きている中で起こるくだらないことや、自分が楽しいとか面白いと思った話を、ただ淡々と日記のような感覚で発信しています。
誰かに共感してもらいたいわけでもないので、今は一緒にポッドキャストをやっているもうひとりの人と共有するくらい。本当にポッドキャストが好きかどうかはもう少し続けてみないとわからないので、今はまだトライアル中といった感じです。
人生で1番楽しい時期
去年の12月で30歳になりましたが、周りにいる30代の先輩とか、30代より上の人たちもみんな「30代が1番楽しかった」と言っていたので、なんとなく30代は人生で1番楽しくて、輝かしい時期なんだろうなと。
そんな30代にやっと入れたと思うとワクワクしますが、僕は世の中にいる同い年の人と比べると、あまり経済的にも社会的にも余裕があるわけでもないので、簡単にいろんなことに挑戦できるわけでもないけれど…でもそれを上回るほどの期待感が今はあります。
今はまだ自分に対しても、仕事に対しても自信を持てませんが、30代は仕事も自分にも自信を持てるんじゃないかなと、そうなれると良いなと思っています。
「青」プロフィール
青
2020年にクリエイティブ集団『オツカレサマシーン』を結成。
2023年6月には、同集団内アートユニットAPAによる、平面作品を中心としたグループ展を開催予定。
現在、Podcastも配信中。
ライタープロフィール
伊藤夏希
1998年生まれ。宮崎県出身、高円寺在住。
武蔵野音楽大学演奏学科を卒業後、サラリーマン・ライター・カメラマン・ピアニスト・ピアノ講師・YouTuberとして活動中。
3月25日 ピアノ&サックスコンサート『設定温度』
9月17日 ピアノソロコンサート『長月、思い出にするには勿体ない』を開催予定。
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