高円寺の “ 庶民派 ” 女王・のうじょうコラム vol.29 ~ 引っ越した! ~

高円寺

あなたにとって「良い暮らし」とはどのようなものですか?

”高円寺の女王”と物騒なキャッチコピーで呼ばれつつも、
超庶民派ミュージシャンのうじょうりえが
高円寺の目線で「良い暮らし」を伝えていく

高円寺の”庶民派”女王・のうじょうコラム

7月度お送りします!

引っ越した!

引っ越しました!とSNSで書いたら、高円寺だよって表記するの忘れていてめちゃくちゃ連絡きていた。
もちろん高円寺→高円寺での引っ越し。
他の街に住んでみたい気持ちも0ではないんだけど、やっぱり高円寺が好きでここにいたい。
誰かにとってはそうでもなくても、わたしにとってはこれ以上の街に出会える気が今の所していない。
色んな街によく歌いに行ったりで出掛けるけど、良い街だな〜と思っても住みたいとはならないんだよな。
そしてここまで来るとわたしは高円寺に住むべきという使命感も芽生えている。
わたしだから伝えられる高円寺のことがあるんじゃないかなと。

もし他の街に住み始めたらこのコラムで書くことも大分変わっていくんだろうな。
せっかく高円寺だけに拘らず「ツブサ・スギナミ」と広い目で見てくれているので、それはそれで面白そう。
何にもなくても人の心って少しずつ変わっていくものだから、生活が変わったら全く違うものも見せられるだろうね。
分かった上で高円寺にいる自分の生活を書き続けていたいのかもしれない。

6/1から鍵をもらって、前の家から徒歩圏内だったので少しずつ荷物を運びながらの自力引っ越しをしたんだけど
6月がライブ17本(路上ライブ抜いて)レコーディング3回ある中で引っ越しだったので、こういうの忙しいっていうんだろうなと引っ越し終わってからやっと気付いた。阿保である。
荷物運んでライブして〜の日が続いたので訳分からなくなっていた。
あらゆる連絡を返し忘れてしまったりで申し訳ない。未だに何かを忘れている気もしている、、

前の家に住んでから古い家の魅力に取り憑かれてしまい、新居も古くて浪漫のある家がいいなーと妄想しながら物件探しをした。

  • 服が多くギターもあるので置けるスペースもしくは収納がある
  • JR高円寺駅から歩ける範囲
  • 家賃5万位内
  • 今育てている植物を置けそう←重要

の条件で。
いつか風呂無しとか住んでみたいとすら思っているんだけど、最近は銭湯もかなり値上がりしたし風呂無しはお得ではない。
不動産の人がジムに通ってる人はそこでシャワーを浴びられるから風呂無し選んだりしますよと言っていて、賢い人もいるもんだと感心した。
大和町という高円寺駅から徒歩圏内の中野区の物件は安いんだけど、区役所とか遠くなる気がして杉並区民でいたかったのもあり条件から外してしまった。
遊びに行くお金を確保したいから家賃抑えたい主義なのに、なんとも我儘な理由だ。
植物は当たり前だけど最後まで責任持って育てたかったので、ベランダがあるとか1階とかそこそこでかいプランターを数個置けそうな部屋を探す。なので内見に力を注いだ。
1階は女性は危ないというけど、ギターや物販や大きい荷物を持ち出すことが多いわたしは都合が良い。それに高円寺の治安をそこそこ信じている。

前にも書いたことあるけど、高円寺は家賃が高いと言われつつそんなに拘らず探せば案外安い物件はある。
あとあらゆる物価がまじで安いので、住んじゃった方がその辺の出費を抑えられる説まである。
実際他の街に住んでいる友人にも言われたことがある。
食べ物屋とかスタジオも他の街より安い所が多すぎるので、是非高円寺に住むことも視野に入れてもらいたい。

なんか最近肘とか足とかその辺によくぶつけるなと思っていたら、新しい部屋の構造にまだ馴染めてないだけだと気付いた。
そうこうしてやっとこの部屋にも慣れてきた。
自分の荷物を運び入れると部屋の匂いが変わるし、微妙に置ききれていないプランターはあり得ない形で柵に吊るされてるし、少し遠くなった駅からの帰り道は前より1曲多く音楽が聞ける。
不便になったようだけど、わたしの心の面で言えば便利で丁度良いのかも。

引っ越しの負荷に負けず、朝顔も百合もしっかり咲いてくれた。
こんな大きくなるお花わたしに育てられるんだ。
強く生きてくれることに救われる。
こっちは生きるの何年経っても慣れね〜〜って感じだけど、この子達を見ているとそんなことも言ってられないなと思う。
慣れたくもない自分もいるんだけど。

引っ越しで大きな荷物運ぶのを手伝ってくれた人に焼いた肉を奢った。友よ。

好きなもの嫌いなもの

わたしの好きなものを嫌いな人もいて、わたしの嫌いなものを好きな人もいる。
誰かにとっては良い人でも、別の誰かにとっては悪い人になったりする。

最近また頻繁に高円寺の路上ライブを止められるようになった。
京樽の前で歌ってたら店員さんがやめさせることもなく、むしろ頑張ってねって挨拶してくれたり
夜中に飲み帰りの知らない人が演奏に合わせて踊ってたり隣で潰れてたり
良くないけど、あの頃は良かったなって思ってしまう。
良い思い出だったからこそ余計に浸ってしまう。
コロナ前は路上ライブを止められることもまずなくて、元はできていたものができなくなってきている状況に疑問を抱く。

わたしは変わらずうだつが上がらないまま路上で歌っているだけなのに、何が変わってしまんだろう。
音楽に関することだけじゃなくて、街の雰囲気も。
いくら泥酔していてもひとつ残らずゴミを持ち帰る人達も減ってしまった。
ずっとここにいて欲しいとか、変わらないであって欲しいとかって気持ちもある中、そんなの無理だし皆の為にならないから受け入れていきたいのに
愛している街がそんなに愛もない人達に変えられていってしまうんじゃないかと不安に駆られる。
自分に合っているから選んだ居心地が良かった所に違和感を感じていく寂しさ。
本当はこんなこと言いたくないし思いたくもないよ。

わたしの考え方は古いのかもしれない。
ただ8年くらい住んできて最近の街に思ってること、今まで我慢してあまり言ってこなかったこと、同じように思っている人もいるからわたしが言うべきな気もする。
いち高円寺在住ミュージシャン目線の意見としてもらって構わないし、否定してもらっても良い。
わたしもただの住人だからこそ、素直な気持ちを言う権利があると思う。

コロナを境目にして考えたら大分世の中が変わって、今までと違う考え方になる人がいるのも納得できる。
わたしも考え方を改めたり見つめ直したりしたから。
物凄く音楽が好きでも聞きたくもない日もあるし、大好きな食べ物を食べたくない日だってあるくらいなんだから、気持ちが変わるのも当然だと思う。
もしかしたら路上ライブをうるさいと通報するのはわたしになっていたかもしれない。
それだけ人の心って変わってしまうこともあるし分からないないものだから、話ができたら嬉しい。
伝えたいことが薄れたり隠れてしまうような過激な言葉じゃなく、下手でも丁寧な言葉で。
分かり合えなくても、人と人が素直に向き合う大切さは信じたいよ。


次回は、8月初旬の更新予定です。

ライタープロフィール

のうじょうりえ

千葉県出身、高円寺発。
キャッチコピーは人間大好きシンガーソングライター。
「高円寺の女王」の異名も持つ。

コロナ禍現在も東京を中心に月10本前後のライブに加え、路上ライブ、配信、遠征ライブなど精力的に活動。
音楽で生計を立てている。

高円寺を愛し盛り上げたいという思いと、高円寺駅を土日祝日も快速が停まる街にしたい、という秘かな野望がある。

地元千葉への愛も忘れず、台風15号の際チャリティー路上ライブを行い、集まった¥83,890を千葉県へ全額寄付している。

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