高円寺の名曲喫茶「ネルケン」は、雄大なクラシック音楽が流れる喫茶店。
聞きなれない「名曲喫茶」とは、店内に音響設備が整った中でクラシック音楽が流れる喫茶店のこと。
クラシックレコードがまだ高価で個人での購入ができなかった(1950~60年頃)時代に登場・浸透した。
今では名曲喫茶は少なくなったが、特に杉並には依然根強いファンが支え、老舗店として数を残している。
ネルケンの店内はクラシックな彫刻や絵画などが飾られていて、赤生地のチェアなど、レトロで厳かな雰囲気がある。
お店は気品のあるマダムが基本一人で切り盛りされている。
メニューはシンプルな喫茶メニューだ。
客層は若いカップルが談笑していたり、ご高齢の方が新聞を読みながらコーヒーを飲んでいたりでさまざまだ。
ネルケンのコーヒーはネルドリップで淹れる本格派。
私はここのコーヒーが大好きだ。
目次
高円寺の名曲喫茶「ネルケン」外観
緑が鬱蒼とした雰囲気のある外観。
緑に覆われてひっそりとしているので、あぁここか、と見過ごしてしまう人も多い。
「クラシック」「コーヒー&ピクチャー」が特徴的な名曲喫茶。
高円寺の名曲喫茶「ネルケン」店内
お店の扉をあけると、大音量のクラシック、レトロで雰囲気のある内装に思わず息を飲んでしまう。
裸婦の彫刻、アンティークな絵画、赤生地のチェアー、ブラウン木の仕切り、活けた花やドライフラワー。冷たいようで暖かい。とても美しい空間だ。
壁には 美しい絵画がたくさん飾られている。
「珈琲の濃きむらさきの一椀を啜(すす)りてわれら静ごころなり」
名句だなぁ。
本当にほれぼれする店内。こんな綺麗な状態でお店が残っていること自体、歴史的価値があるよなぁ。
私が座った一人席。なんとも落ちつく空間だ。
メニュー。コーヒーはストレートも種類がある。紅茶やクリームソーダもあるし、トーストやクッキーなどの軽食も頂ける。
お酒も頂ける。こんな大音量のクラシックが流れる中で飲むブランデーやウイスキーも美味しいだろうなぁ。
コーヒー実飲・レビュー
今回はコーヒーを注文。530円。
コーヒーはマダムがネルドリップで丁寧に抽出され、ブレンドはネルケンのオリジナルだ。
一口頂くと、おーまろやかで優しいヴィンテージ感!
ゆるやかな苦味の中に、ほどよい酸味が心地良いなぁ。
香りはハイローストしたピーナッツの様な、少し炭がかったようなふくよかな香ばしさを感じる。
ネル特有のまろやかさと優しさがありながら、酸味がよいアクセントになっていて、旨味が強めのコーヒーだ。
美味しいなぁ。
ネルケンで毎回、雄大なクラシックを聴きながらコーヒーを飲んでぼーっとしていると、 お店に少し飲まれるというか、 違う世界へ誘われるような感覚に陥る。
生花とドライフラワーが共存し、自分と人の彫刻が存在する店内はやはり独特で、少し自分の死生観みたいなものが浮かび上がってくる感覚になる。
それが何とも心地よくて、考え事する時などぴったりだ。
お会計時にマダムと少し世間話をしてお店を後にすると、なんとも気分が晴れやかになっていて、今日も頑張ろうと思えるんだよなぁ。