高円寺ハーヴェストとは ~地産地消にこだわるワケ~ vol.3

高円寺ハーヴェストとは
文章:加茂 剛
高円寺

ツブサをご覧の皆さま、こんにちは。
加茂剛(かもたけし)と申します。

高円寺ハーヴェスト」という名前で活動しております。

今回はvol.3なので、vol.2を見て頂いていない方は、先にそちらをご覧いただけますとスムーズです。↓

前回は「高円寺ハーヴェストの成り立ち」「イベントの振り返り」などについてお話ししましたので、今回は2021年11月に行った高円寺ハーヴェスト3回目(×杉並野菜)ついて書きたいと思います。

それではどうぞ。

高円寺ハーヴェスト3回目(×杉並野菜)の開催

杉並野菜イベントを開催するまでの経緯

2021年4月から座・高円寺にあるカフェアンリファーブルで、地元の野菜を使ったパスタを作り始めました。
それが「すぎなみやさいパスタ」です。
週二回水・土曜に提供していて、今現在も続けています。

かぶと小松菜ミラノサラミ バジルタリアテッレ

第二回の記事でも書きましたが、高円寺の方でも地元の野菜を食べたことない方がほとんどで、杉並に畑があって野菜を作っていることさえ知らない方も多くいらっしゃいました。
高円寺で杉並野菜を売っているお店は南口の神藤商店やアンリファーブルくらいしかなく、仕方ないことではあります。

その認知の低さは、高円寺の飲食店においても同じでした。

では高円寺の皆さんに、杉並野菜を知ってもらうにはどうしたら良いか。

私が八百屋のように動いて飲食店に卸すことも考えましたが、希望通りの量と種類を用意することが難しく、納品時間も合わせられないことから断念しました。

ある日、高円寺ハーヴェストのイベントが良いのでは?と、ひらめきました。
高円寺の飲食店に杉並野菜を卸して、メニューを考えて頂く。
飲食店、お客さん、高円寺に関わるいろんな人々に「地元に野菜があるんだよ」ということを知ってもらう良いキッカケになります。

しかしそうなると、今回は前二回とは事情が違います。

西九州、福島のイベントは、一緒に働いてくれるパートナー団体がありました。
食材リストの作成、配送の手配、宣伝のためのチラシ作成などを対応してくれましたが、杉並野菜でイベントをするとなると、これら全てを一人で対応しなくてはいけません。
お金もかかります。

しかしそれでも、杉並野菜を知ってもらいたいという思いから、やることを決めました。

開催は11月半ば。
期間は二週間。

11月初めには、杉並区最大級のイベント「すぎなみフェスタ」が開かれるため、農家さんはそちらに注力します。12月は飲食店が繁忙期に入るため避けました。
なので11月半ばに決定です。

年明けも考えましたが、やるなら早い方が良いだろうと、勢いで決めました。

日にちを決めたのは良いですが、開催までほとんど日にちがなかったことを鮮明に覚えていますw

みんなで作りあげるイベント

まずは前回の高円寺ハーヴェスト(一回目、二回目)のイベントを参考にして、必要なものをリストアップしました。

リストの中での一番の問題は、チラシでした。
私はデザイン出来ませんし、プロに頼むお金もありません。

以前ポッドキャストの番組「高円寺ハイパー井戸端ラジオ」でご一緒したことがある、街の相談屋・大黒健嗣さんに相談しました。

そして大黒さんから紹介頂いたのが、小田佑二さん。
小杉湯となりや鷺宮小学校の大きな壁画を手掛けられているミューラルアーティストです。

実際にお会いし、作品を見て、小田さんにお願いしたいと思いました。
人柄が素敵ですし、なにより描かれる優しいデザインに一瞬で惹かれました。

今回は各店舗から参加費を頂いてそのほとんどをデザイン料と印刷代に充てたのですが、小田さんからたくさんのご厚意を頂き、感謝しかありませんでした。

そして野菜の手配に関しては、以前から親交のあるファーマーズマーケット荻窪の店長・平塚さんに相談しました。

イベントの趣旨にも喜んで賛同頂き、農家さんに声を掛けて野菜を集めてもらえることになりました。
最初は自分で農家を回ろうと思っていたので、とても頼りになりました。

初回納品は、10万円分にしました。
野菜10万円分、みなさん想像つきますでしょうか。
この後の納品当日、おどろきの光景を目にします、、、。

大量の野菜は、座・高円寺(アンリファーブル)に一時納品させてもらえることになりました。
座・高円寺の篠部(ささべ)さんにも感謝しかありません。

そして現在、高円寺ハーヴェストに参加してもらっている、ツブサ編集長・シゲタ ツヨシさんと知り合ったのもこの頃です。
高円寺を盛り上げたいと思うもの同士、一度話したいなと思いました。
お互い顔は知っていたのですが、ちゃんと話したことはありませんでした。

ハーヴェストをインスタで宣伝してくれないかな、という下心もありましたw

初めての食事で、高円寺エトアール通りの和食居酒屋「三六九(みろく)」に行ったことを今でも覚えています。
シゲタさんも、ハーヴェストの趣旨にとても興味を持ってくれて協力しますと約束してくれました。
それからとても意気投合し、毎週のように飲みに行っています。いや打ち合わせをしています。
シゲタさんがお酒を飲むようになったのは、自分のせいかもしれません、、、。

後は、当日参加頂く飲食店集めです。
以前ハーヴェストイベントに参加してくれたお店がメインではありましたが、初めてのお店も選定しました。

今までは飲み屋さんが多かったのですが、夜に動く人たちだけではなくいろんな方にアプローチするために小杉湯となりさんや、カフェにも参加頂きました。

そして、計20店舗で開催することが決定しました。

チラシ表面
チラシ裏面

色んなお店を回遊できる様、チラシにスタンプラリー制も新たに導入しました。

関わってくれる皆さんと連絡を取りつつ、駅や様々な場所にもチラシを配るのは忙しく楽しい時間でした。

杉並区が運営する「中央線あるあるプロジェクト」に申請すれば、杉並のJR各駅に、自作のチラシを置くことができるので、そちらにも置いて頂きました。


改めて今回私は、たくさんの人に助けて頂きました。

最初は自分が踏み出さないといけないけれど、やりたいことを明確に掲げれば、助けてくれる人が現れることを確信しました。

高円寺ハーヴェスト3回目(×杉並野菜)イベント当日

そして納品当日。

野菜が一挙に座・高円寺に到着。

更にもう一台、ワンボックスカーが!

座・高円寺前の駐車場に広がる野菜たち。

これを我が家まで運び、仕分けする手筈でしたが、一瞬で気が遠くなりました。
幸い、家は歩いて5分ですが、台車で何往復したか、、、。

そして、野菜のコンテナで部屋が埋まりました。
11月なのでそんなに暑くない季節でしたが、冷蔵庫にしまうのが不可能すぎる量だったので部屋にクーラーをつけ、積みあがるコンテナの横ですごい圧迫感の中、毎日寝ていました。

これらの野菜を飲食店に納品するのも一苦労で、20店舗に台車と自転車を駆使し、野菜を運びました。
晴れていて何よりでしたが、雨だったら泣いていたと思います。

開催中はこの繰り返しでした。
大量の野菜が納品→家の中に運ぶ→家の中で仕分け→お店に届ける→参加店舗でメニューを食べるといった日々です。

小杉湯となりでは、軒下で杉並野菜の直売をして頂きました

杉並野菜を使ってもらい、飲食店の皆さんから「美味しい!」と言ってもらえた時は嬉しい気持ちでいっぱいでした。

参加店舗で私がご飯を食べている時に、スタンプラリーをしてくれているお客さんにお会いすることができたことも本当に嬉しかったです。

開催中、各店どんなメニューがあったかというと、
「里芋とヤリイカのグラタン」「小松菜とズワイガニのテリーヌ」「ブロッコリーとキャベツの蒸し焼き」「春菊ジェノヴェーゼと牡蠣のスパゲティー」「金時草の天ぷら」「いりこで炊いた大根のふろふき」「長ネギとタコのアーリオオーリオ」「ローストトマトのブルスケッタ」「シルクスイートとスモークチーズのサラダ」・・・・・
などがありました。
SNSを使って、各店積極的に杉並野菜料理を紹介してくださいました。

参加店舗のみなさんにも、感謝しかありません。

今回のイベントで私に利益が出た訳ではなく、むしろマイナス(!)で、
何をもって成功とするかは人それぞれですが、自分にとっては大成功といえるイベントでした。

普通の企業では、そもそもこの企画は有り得ないことだと感じます。

今回得られたことは、企画段階から様々な人との出会いがあり、私が経験した全てです。
それを活かすのは、これからの自分次第です。

種は植えることができました。後はどう育てるかにかかってくることだと言えます。


次回は、イベント後の展開と、今後の高円寺ハーヴェストについてを書いてゆきたいと思います。


プロフィール

加茂剛

加茂 剛(かも たけし)

高円寺生まれ、高円寺育ち。
社会人になってからは、イタリアンで働く。その間もほぼ高円寺暮らし。居心地良くて出られず。

高円寺を「食」で盛り上げたいという思いに加え、多様性を受け入れる高円寺に大きな可能性を感じ、さまざま地域と飲食店を繋げるイベント「高円寺ハーヴェスト」を企画する。

イベントだけではなく、いろいろ携わりたい思いから、ツブサ編集長のシゲタさんと共にいろいろ企画中。

コラボしたい地域や人、大募集中です!

音楽は日本のロックが好き。
ヒロト・マーシー・チバが特に好き。

高円寺ハーヴェスト
・Instagram

個人
・Instagram