高円寺ハーヴェストとは ~地産地消にこだわるワケ~ vol.2

高円寺ハーヴェストとは
文章:加茂 剛
加茂剛

ツブサをご覧の皆さま、こんにちは。加茂剛(かもたけし)と申します。

「高円寺ハーヴェスト」という名前で活動しております。

Vol.1を見て頂いていない方は、先にそちらをご覧いただけますとスムーズです。↓

前回は「地産地消のこと」「杉並野菜にこだわる理由」などお伝えしましたので、本日は「高円寺ハーヴェストの成り立ち」「イベントの振り返り」などについて、時系列に沿いながらお話してゆきたいと思います。

それではどうぞ。

イベント「高円寺ハーヴェスト」の成り立ち

高円寺バール・タッチョモでの経験

カウンターメインのイタリアンバールを辞めた後(高円寺タッチョモで働く前)、本当は飲食での独立を考えていました。

しかし家庭の諸事情で独立を諦めなければならない状況になった時、自分が「笑顔でいられること」が最も大事であると気づき、地元高円寺で活気があるお店、イタリアンバール「タッチョモ」で働くことを決めます。

タッチョモでは店長を務め、お客さんとスタッフの距離が近くいろんな話が出来、初見のお客さん同士が仲良くなる光景も見られて、毎日笑顔で溢れていました。

シゲタさんとはじめて会ったのも、この時期です。

シゲタさんの過去記事

自分がやろうとしていたお店が、まさにタッチョモにありました。

自分の目標が一つ達成出来た後、さて何をやろうかと考えたとき、真っ先に思いついたのが「顔が見える生産者の食材を使いたい」ということでした。

美味しいアスパラガスとの出会い~イベント開催

良い食材を探す中で、タッチョモの常連さんに紹介頂いた福島県喜多方「エガワコントラクター」のアスパラガスにとても感動しました。

実際にアスパラ畑にお邪魔して収穫体験をさせて頂いたのですが、畑で収穫したばかりのアスパラが、ハサミで切ったところから水が垂れてきます。

それほどみずみずしいんです。そのままかじりつくと口の中でジュワッと水分が弾け、至福でした。

こんな旨味が味わえるアスパラを、高円寺の他のお店にも使ってもらいたいと思い、イベントにすることを考えました。

高円寺の複数のお店でアスパラ料理を出せば、お客さんが他のお店も回遊してくれて、行ったことのないお店でも足を運んでくれるきっかけになります。

イベントは4店舗のみ(タッチョモエルパト魚貝ののぶ酒場ニホレモ)での開催でした。専用のチラシは無く、メニューに少し目立つように「他の3店舗でも食べられます」と書いただけ。

その程度の告知ですし、大きな人の流れを生んだわけではありませんでした。

それでも新しい取り組みを開催できたことは大きな前進でした。

一緒にやってくれた飲食店から、新しい食材を使えて良かったという声が聞けたのも嬉しい反響でした。

金澤美人れんこんで、次のイベントを開催

数か月後の風が冷たく肌寒い時期。

金澤美人れんこんを使ってイベントを開催しました。これも前回同様の高円寺4店舗で開催です。

金澤美人れんこんは、石川県能登に移住した妹夫婦に紹介してもらいました。

このれんこんは程よい甘さがあり、粘りが強く火を入れて食べると糸が引くほど。

アスパラ同様衝撃が大きく、もっと知ってもらいたい気持ちが湧き上がりました。

金澤美人れんこんの畑にも伺いました。

れんこんを使った料理を出している金沢の居酒屋で、れんこんを育てるときのこだわりとふるさとや仲間への愛、仕事に対する情熱を聞かせて頂き、とても刺激を受けました。

食材や生産者の方との出会いが自分にとって刺激になり喜びに繋がることを、今までよりも更に強く実感するようになりました。

高円寺ハーヴェスト1回目(with 西九州食財)の開催

大きな転機は、前述のアスパラ農家さんとの交流会です。
そこで自治体から食材PRの仕事を頼まれている方と出会います。

自治体は西九州。

馴染みのない地名でしたが、佐世保市を中心とする5つの市や町の総称だと知ります。
高円寺で小さな食材イベントを開催していることを伝えると、西九州とぜひ一緒にやりましょうと話が盛り上がりました。

「地域」ということは、今回野菜だけではありません。
魚、肉、果物など、幅が一気に広がります。

現地での生産者ツアーも計画して頂いたのですが、ツアー開催が2020年2月。
コロナの猛威がすぐそこまで迫っていました。
社会に広がる閉塞感。
人が集まるイベントはことごとく無くなっていきます。
高円寺の一大イベント・阿波踊りも例外ではなく、阿波踊りが開催出来ず街の活気が失われることが目に見えていました。

このことから、イベントをやるなら今しかないと思いました。

この時、飲食店は22時までなら営業ができたので、短い営業時間ではありますが、何もしないよりは良いだろうという考えに至りました。

この時イベント名を「高円寺ハーヴェスト」と名付け、高円寺の飲食店14店舗に声を掛け、高円寺と西九州のコラボイベントを開催します。

「高円寺ハーヴェストフェアwith西九州食財」と銘打ち、9/1~9/7の一週間。

それぞれの店舗であらゆる西九州食財を使った料理を提供してもらいました。

ハーブを餌に食べさせて生食もできる「ハーブ鯖」、九十九島の大きくてミルキーな「岩牡蠣」、赤身と脂のバランスが最高な「長崎和牛」、豊かな果汁と歯ごたえのある「伊万里梨」、他にもたくさん素晴らしい食材に出会えました。

今回はチラシを作成し、各店舗に告知もお願いし、以前2回とは比べものにならないほどスケール感がでたイベントになりました。

チラシを見て参加店舗を回遊くださった方がいたことは、イベントの可能性を強く感じられるものでした。

高円寺ハーヴェスト2回目(チームふくしまプライド。)の開催

西九州のイベントとほぼ同時進行で、次の高円寺ハーヴェストを企画していました。

場所は福島。

コロナ期間中に喜多方の江川さんのアスパラを店頭で販売していたところ、繋がったのが高円寺在住「東の食の会」。
「東の食の会」とは、東日本大震災を機に立ち上がった、東日本の生産者とタッグを組んで様々なブランドを作ったりイベントを開催する団体です。

タッチョモに担当者の木村さんが来られた時に、福島食材と高円寺飲食店でコラボしませんかと相談したところ、二つ返事でOK頂きました。
西九州イベントの打ち合わせが進む中、木村さんは福島の生産者さんを回るツアーを企画してくれました。

福島は、浜通り・中通り・会津若松と3つの地域に分かれています。

一泊二日の強行スケジュールの中、全ての地域を回って多くの生産者さんにお会いし、皆さん芯が強く魅力的な方ばかりでした。
震災、台風など当事者にしか分からない辛さがあると思いますが、皆さん明るく迎えてくれました。

このツアーを通して私は、福島のことが大好きになりました。

そして2020年11/2~11/8に「高円寺ハーヴェスト×チームふくしまプライド。」を開催します。

「チームふくしまプライド。」とは、誇りを持った生産者と、彼らを応援する人々が集まるファンクラブです。

今回は、前回より2店舗増えて飲食店17店舗と、高円寺が誇る銭湯「小杉湯」さんにも参加頂きました。

飲食店の内訳は、ビストロ、居酒屋、ラーメン、てんぷら、BARで、様々なジャンルの店舗が福島食材でメニューを考えてくれました。

この取り組みは、新聞の河北新報にも取り上げて頂きました。

週末土曜日には、福島の生産者さんが高円寺に来てくれて、参加店舗を回って福島食材メニューを食べてくれました。

福島の生産者さん達が集合

メニューを注文している各店舗のお客さんとも交流ができたようで、お互い良い思い出になったようです。

高円寺を食べ歩いた後は、タッチョモに集まって打ち上げを開催し、生産者、飲食店、お客さんが交じり合えた、奇跡のような一夜でした。

タッチョモを退社、更なる地産地消にチャレンジ

2021年、年が明けて早々、緊急事態宣言が発令されます。

タッチョモは通常営業ができず、またモヤモヤした日々が始まりました。

以前から、自分のお金を稼いだ結果の価値観として、高級外車に乗りたい訳ではない、都心の高層マンションに住みたい訳ではないという気持ちがありました。

稼いだ結果、それを使って何がしたいのか。

店長というポジションにいましたし、仕事を辞めなければ、ある程度貯金も出来るかもしれない。社会的地位も保証されるでしょう。

でもそれでいいのか。

これから何をして生きてゆきたいのか。

江川さんのアスパラ畑に行ったことや、れんこん農家さんと酒を酌み交わしたことや西九州の自然に触れたこと、現地に行き福島の生産者さんの熱い想いに刺激を受けたことを思い出しました。

「毎日、笑顔で暮らしていたい。」

そうだ、想いのある生産者の方と関われる仕事をしよう。

きっと高円寺ハーヴェストは楽しいものになる。

高円寺ハーヴェスト2回目(チームふくしまプライド。)の一こま。左の方がとろねぎ生産者の佐藤さん、右の方が里芋生産者の白石さん、真ん中のラザニアはとろねぎと里芋を使用。

そこには、タッチョモをやりながらという選択肢はありませんでした。

イベントに関わる時間が、限られることが明らかだったからです。

そして、2021年3月末、4年半務めたタッチョモを退社しました。

時間を開けず4月の第一週目から、座・高円寺内のアンリファーブルで働き始めました。
座・高円寺の劇場スタッフの方に「タッチョモを辞める」と話をすると、すかさずお声がけを頂きました。そこから2階カフェの料理を担当することになります。

高円寺のシンボル的存在である「座・高円寺」で働けることは、街とより関わりたい私にとって非常にありがたいお話でした。

すぎなみパスタの完成

アンリファーブルでは、メニューを変えたいという依頼を受けました。

ここで私が提案したのが「杉並野菜」でした。

以前タッチョモで、東京の在来野菜の呼称である「江戸東京野菜」や「杉並野菜」を使おうとして挫折した経験があり、再度、地産地消に挑戦しようという心意気でした。
様々な人が集まる劇場で発信出来ることも、非常に魅力的です。

すぐにでも始めたかったので、今までの経験を活かしたイタリアンに決めました。
バリエーションが作りやすく、食事として成り立つものとして「パスタ」を主軸に決めました。

これが「すぎなみやさいパスタ」の始まりです。

JAの直売所が荻窪にあることは知っていたので、野菜はそこで調達しました。
ゆくゆくは農家さんから直で仕入れたいな、という夢も膨らんでゆきます。

初回のメニューは「杉並産ロメインレタスとキャベツのボロネーゼ」。

ロメインレタスのみずみずしさと味の濃さに驚いたのを、今でも鮮明に覚えています。
「すぎなみやさいパスタ」を作り続けて実際に様々な野菜に触れることで、確信したことがあります。

それは、とにかく美味しい。

朝採れキュウリのパリッとした食感、あやめ雪カブの白と紫の綺麗なグラデーション、白や緑色の茄子、香りと甘みが抜群のフルーツトマト、様々な野菜が杉並で育てられていることを知りました。

2021年12月末までに、66種類の野菜を使い、75種類の「すぎなみやさいパスタ」を作りました。

そして今現在も週二回、座・高円寺で「すぎなみやさいパスタ」を作り続けています。



次回は「更にイベントの振り返りと、高円寺ハーヴェストのこれから」についてお話したいと思います。


※次回の更新予定は、5月上旬頃を予定しております。

プロフィール

加茂剛

加茂 剛(かも たけし)

高円寺生まれ、高円寺育ち。
社会人になってからは、イタリアンで働く。
その間もほぼ高円寺暮らし。居心地良くて出られず。

高円寺を「食」で盛り上げたいという思いに加え、多様性を受け入れる高円寺に大きな可能性を感じ、さまざま地域と飲食店を繋げるイベント「高円寺ハーヴェスト」を企画する。

イベントだけではなく、いろいろ携わりたい思いから、ツブサ編集長のシゲタさんと共にいろいろ企画中。

コラボしたい地域や人、大募集中です!

音楽は日本のロックが好き。
ヒロト・マーシー・チバが特に好き。

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