ツブサをご覧の皆さま、初めまして。加茂剛(かもたけし)と申します。
高円寺生まれ高円寺育ちで、今は食と農、そして人を繋げる仕事をしています。
「高円寺ハーヴェスト」という名前のイベントを、今まで高円寺で3回開催しました。
高円寺15~20の飲食店で、地域の食材を使った料理が食べられるイベントです。


今回、友人であるシゲタさんから『高円寺ハーヴェストについて書いてほしい』とお話を頂きましたので3回に分けて寄稿させて頂きます。
今回は「地産地消のこと」「杉並野菜にこだわる理由」について、次回は「高円寺ハーヴェストの成り立ち」のことを。最後3回目は「これからの高円寺ハーヴェスト」についてお話したいと思います。
目次
地産地消の文化に触れた経験

私は現在、座・高円寺内にあるカフェ、アンリファーブルで週2回(水・土曜日)、杉並野菜を使ったパスタ「すぎなみやさいパスタ」を提供しています。
アンリファーブルで働く以前は、荻窪のピッツェリア、神楽坂のイタリアン、山形県のイタリアン「アルケッチャーノ」、カウンターメインのイタリアンバールで働き、高円寺のイタリアンバール「タッチョモ」では店長をしておりました。
イタリアン畑一筋で働いてきましたが、その中で本場イタリアへの視察旅行や、山形県鶴岡の地産地消食材で作るイタリアン「アルケッチャーノ」で働いた経験などから、地産地消にとても興味を持ちました。
本場イタリアでは地域によって料理が大きく異なり、自分の郷土料理を深く愛する文化が存在します。
その土地で取れたものを、新鮮なうちに料理して地元の人ができたてを食べる。
それがとても自然な流れなのです。
色んな場所の食材・料理が食べられること自体は素晴らしいですが、今住んでいる近くにある「恵み」に気付けない事は非常にもったいないことだと感じます。
この経験が、高円寺ハーヴェストで地産地消を取り上げる種になっています。
地産地消のメリット4選
地産地消について漠然と良いということは知っているけれど、具体的にどういうものなのかわからない方に向けて、私の考えるメリットを4つお伝えしたいと思います。
鮮度が良い

メリットとしてはまず、鮮度が良い事が挙げられます。
交通網が発達し、冷蔵冷凍技術の発達によって鮮度の維持は良くなっていますが、野菜に関しては収穫から口に入るまで、一日違うだけでも印象が大きく変わるものが多数存在します。
地元の野菜であれば、朝に収穫してその日の夜に食卓に上がることも不思議ではありません。鮮度が良い野菜は美味しさに繋がります。
畑の景観が良い

畑にキャベツの緑が綺麗に整列している、土の色と青空のコントラスト、ぎゅっと肩を寄せ合って集まり赤く色付くトマトたち。
これらは都会に暮らしているからこそ、遠くなってしまった風景です。
自然の豊かさに触れる。
多くの人は畑の四季折々の風景に心が癒されるのではないでしょうか。
燃料資源の節約になる
生産物の輸送の燃料を節約出来るメリットがあります。
例えば北海道から送られてくるじゃがいもは、東京のスーパーどこでも買えます。しかし私たちがじゃがいもを買う際かかる輸送コストの事は、あまり気にしません。実際に化石燃料を使って運びますし、トラック運転手の人件費もかかります。
地元で取れたものであれば、コストを限りなく小さくすることが可能です。
畑に併設されている直売所で買えば、輸送コストは最小限になります。
農業体験が可能

農業が近いということは、農業体験もできます。
近年「週末農業」をはじめ野菜作りへの関心は年々高まりつつあります。杉並区民農園などを利用すれば、わざわざ郊外に畑を借り時間をかけて区外に出る必要がなく、少し早起きして仕事の前に、休みの日に家族と一緒になど土に触れる機会を増やせます。
以上が私の思う、地産地消の基本的なメリットです。
杉並野菜にこだわる理由

高円寺出身の私が、杉並野菜を広めていきたいと思うには理由があります。
高円寺は飲食店が多く、私が通うお店は個人店ばかりです。店員さんとお客さんの距離が近く、程よいコミュニケーションができる平和な雰囲気が好きです。
そんな高円寺の素敵な飲食店で、地元の生産者さんの野菜が食べられることはとても幸せで豊かな生活であると考えます。
高円寺駅の周りには畑もありませんしそれは仕方ないことですが、そもそも杉並区で野菜が作られていることを知らない人が多いと「すぎなみやさいパスタ」を作り始めてから感じています。
せっかく美味しい野菜が皆さんの住んでいる近くにあるのに、存在を知らないことが非常にもったいないことだと思っています。
杉並野菜を知ってもらい、どうせならそれを私が好きなお店に使ってもらいたい。
それが後述するイベント「高円寺ハーヴェスト×杉並野菜」開催の大きなモチベーションになっています。
杉並野菜は杉並区のここで採れる

それでは、杉並野菜は杉並区のどこで作られているのでしょうか。
6つの地域に大きく分けることが出来ます。
中央線を境に、北側が
- 井草地区
- 上井草・今川地区
- 清水地区
南側が以下になります。
- 宮前・松庵地区
- 久我山・高井戸西地区
- 上高井戸・浜田山地区
中央線付近にはありません。
作られているモノは、農家さんの意向が反映されています。
トマトをメインで作られている方もいますし、西洋野菜に力を入れている方など様々です。
直売所を併設されている方も多く、朝早い時間から地元の人で賑わっています。
杉並野菜は高円寺のここで買える
高円寺で買える場所は、今のところ2カ所しかありません。
神藤商店

業務スーパー高円寺店の横にあります。
大正12年創業、昭和9年から高円寺で営業されているそうです。
毎週水曜日、杉並野菜を販売しています。
親子3代でお店に立つ、とてもアットホームなお店です。
野菜を買いに来たらつい話が弾んでしまう、長居したくなる場所ですね。
アンリ・ファーブル

座・高円寺の二階にあるカフェです。
私が「すぎなみやさいパスタ」を提供している場所になります。
週末に販売していることが多いですが、今は平日にも井草の森田さんの美味しいフルーツトマトを販売しています。
完熟まで育てて収穫されるトマトは、香りも味も最高です。
高円寺では、杉並野菜を購入できる場所がまだまだ少ない事が現状です。
以上のことから高円寺ハーヴェストの活動を通して、地産地消をもっと根付かせたい思いがあります。
次回は「高円寺ハーヴェストの成り立ち」についてお話したいと思います。
※次回の更新予定は、4月中旬頃を予定しております。
⇒vol.2はこちら
プロフィール

加茂 剛(かも たけし)
高円寺生まれ、高円寺育ち。
社会人になってからは、イタリアンで働く。
その間もほぼ高円寺暮らし。居心地良くて出られず。
高円寺を「食」で盛り上げたいという思いに加え、多様性を受け入れる高円寺に大きな可能性を感じ、さまざま地域と飲食店を繋げるイベント「高円寺ハーヴェスト」を企画する。
イベントだけではなく、いろいろ携わりたい思いから、ツブサ編集長のシゲタさんと共にいろいろ企画中。
コラボしたい地域や人、大募集中です!
音楽は日本のロックが好き。
ヒロト・マーシー・チバが特に好き。
高円寺ハーヴェスト
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