【高円寺、若者たち #8】 元警察官、生まれ育ったこの街で、もう一度夢を見る 【ぴょんす】

高円寺

ツブサをご覧のみなさんおはようございます、ライター・ピアニスト・写真家の伊藤夏希です。

高円寺に関わる“若者”にフィーチャーし、その人の生き方や高円寺にまつわるエピソードを深掘りしていく「高円寺、若者たち」。

今回紹介するのは、高円寺出身、高円寺在住の「ぴょんす」さん(28歳)です。

前回の「高円寺、若者たち」で紹介した森 貴充さんが店主を務める「串カツ玩具-GANG-」にて、この夏新たにスタッフとして加わるぴょんすさん。

実は、森さんが「串カツ玩具-GANG-」の面接という名目で、ぴょんすさんとふたりでお酒を飲んでいた日に、たまたま森さんから僕も飲みに誘われ、一緒に同席したのが僕とぴょんすさんとの出会いです。

今回はそんなぴょんすさんの高円寺で育ってきたこれまでの過去、そしてこれからスタッフとして加わる「串カツ玩具-GANG-」を通して叶えていきたい夢について深堀していきます!

生まれも育ちも今の生活も、ずっと高円寺

仕事で1〜2年くらい離れてしまった期間はあるけど、生まれも育ちもずっと高円寺。

幼少期から高円寺で育ってきたし、友達とどこか遊びに行くとなっても、中野にすら出ることなく、ずっと高円寺で遊んでいました。

実家も高円寺にあるのに、今、高円寺で一人暮らしをしているし。いや、実家すぐ近いのに一人暮らしする意味あるのかよ!って思われるかもしれないけど…(笑)

でも地元の友達も大体みんな高円寺にいるから、僕もずっと高円寺にいますね。

中学校は中野区にある私立の中高一貫校に通っていました。バスケがすごく強い学校で、僕自身、小学校の頃ずっとバスケをしていたので、中学校も高校もバスケ部に入部。

ただ、高校は途中でバスケ部をやめて生徒会に入り、生徒会副会長になることに。

生徒会というとカッコよく真面目な印象に見られるかもしれませんが、副会長ってあくまで会長の補佐でしかないからそんなにすることもなくて。ただ大学進学の時に有利になるかな~と思って、軽い気持ちで副会長をしていました。

大学は武蔵境にある大学へ進学。武蔵境の大学を選んだのも、極力高円寺から離れたくなかったから(笑)

学部は法学部でした。実は小さい頃から警察官になりたい夢があって、警察官になるには法律を学ぶ必要があると思ったので、法学部で入学することになります。

なんやかんや運がよかったのか無事に警察試験にも合格し、大学を卒業してからは警察学校へ入校。

半年間警察学校で学んで、それから1年間ほど、高円寺を離れて葛飾の交番へ勤務することになります。

幼い頃からなりたかった警察官に

制服を着て、ビシッと威厳のあるあの感じが、小さい頃すごくカッコよく見えたんです。

それから気づいたら警察になりたいって夢ができて、警察官になることしか目指していなかった。だから、いざ警察官になれた時は本当にうれしかったですね。

ただ実際に警察官の仕事をしてみると、どんなに善良で優しそうに見える人でも、常に疑いの目をかけなきゃいけない大変な仕事であることがわかりました。実際、職務質問をして何も悪いところがなかった時に、「ふざけんじゃねぇ時間取らせやがって!」とか罵詈雑言浴びせられることも多かったし。

でもそれ以上にこのかっこいい制服を着て、少しでも都民の平和を守ることに貢献できているのかと思うと、うれしかったし、楽しかったですね。

俺は警察官になって何をやりたかった?

仕事はもちろん楽しかったのですが、プライベートと仕事を全然分けられないのが苦しかった。

仕事が終わり寮に帰ると、さっきまで一緒に働いていた上司もすぐ近くにいるわけで、その人たちにも常に気を遣わなければならなくて、、そういうの、自分は苦手じゃないと思っていたんです。メンタルが弱いわけでもなかったし。

でもある日、その常に気を遣わなきゃいけない空間で生きるのが本当に無理だと感じるようになってしまいました。常に気を張り詰めた状態って、意外と自分のメンタルにドンと負荷がかかるものなんだなって。

気を遣いすぎて、ご飯も全然食べられなくなってしまって、お腹も空かないし、食べてもそんな美味しくないと思うようになってしまって、、これはよくないと思い、1年の節目で退職することを決めます。

警察官になる夢は叶えたものの、いざ警察官になってみると、「俺は警察官になって何をやりたかったんだろう」って、警察官になってからの夢が明確じゃなかったんです。

学校を卒業して、実際に警察官の制服を身に纏って、区民に話しかけて、しっかり仕事をこなしていく中で、俺が本当になりたかったのは何だったんだろうと改めて考えてしまいました。

警察官をやめると決めた時は、いろんな人には勿体ないと言われましたね。

せっかくなりたかった夢を叶えたのに、それを手放すなんて、それに公務員だし、そこで働くだけで一生安定的に生きていけるわけだし。

でもその当時の自分は、なりたかった警察官になる夢が叶い、ただそれだけで満足してしまっていたのかもしれません。

夢を叶えてしまった後

警察官を辞めてからはいろんな会社を転々としました。夢を叶えてしまった自分は、この先何をしたいのか分からなかったので、とりあえずアパレルブランドに興味があったからadidasのショップ店員をしてみたり。でもアパレルって給料が低いから、なんやかんや給料は大事だよなぁと思って、人材系の営業マン、いわゆるどこにでもいるようなサラリーマンをしてみたり。

でも営業の仕事も、自分が売る商材が自信を持って売れるような商材じゃなくて…

給料は良かったけど、やりがいは感じられないなぁと思ってまた辞めましたね。

ただ、これは良かったことで、警察官を辞めてからはとにかくいろんな場所へ飲みに出かけることが増えました。

実際に居酒屋やバーに行くと、そこに行かなかったら出会わなかったような人と出会えて、仲良くなって、それから2、3回飲むこともあって。

そんな経験の中で「あ、俺はこうやって人と触れ合うような仕事がしたいのかもしれない」ということに気づきます。

漠然と自分のやってみたいことが見えたような気がしながら、何気なくTwitterを見ていると、モリゾーさんが店主をする「串カツ玩具-GANG-」の求人ツイートを見かけ、「これだ!」と、思い切ってDMを送ってみることに。

すると、モリゾーさんから返信をいただけて、一度ふたりでお酒を飲みに行くことになります。

飲食店をしたかったというより、自分のお店を持ってみたいなとぼんやり考えていました。

人と話したり、お酒を飲むのが好きなわけで、そういったことを考えたときに、大きなスペースの居酒屋も素敵だけど、ギャングみたいにお客さんと密になれるような小さな酒場で仕事をしてみたいなと思って。

ただ大雑把に飲食系をやりたいというより、人との距離が近いバーのような居酒屋のようなラフな酒場が良いなと。

だからモリゾーさんのツイートを見かけたのは本当にいいタイミングでしたね。

モリゾーさんとふたりでお酒を飲んだ日はいろんな話をしました。

それこそモリゾーさんがどんな思いでギャングを立ち上げたのか、今後どうなりたいのかって話を聞いたり、お互いの生い立ちとか、本当にくだらない話もしました。

そうしてふたりでお酒を飲んでいると、モリゾーさんが突然呼んできたのが、なっちゃん(筆者:伊藤夏希)。

この出会いもたまたまだけど、でもあの日モリゾーさんとお酒を飲まなかったら、こうしてなっちゃんとも出会えていなかったし、こうして今取材を受けるなんてこともなかったわけで、だから人との出会いって本当に面白いですね(笑)

この街でもう一度夢を見る

これからはギャングで働きつつ、それこそモリゾーさんが経験してきたようなWEBや動画の仕事なんかも勉強していきたいです。

ギャングはこれから平日も徐々にオープンするらしいので、まずは早く仕事内容を覚えて、モリゾーさんからいろんなことを任せてもらえるようになればいいなと思います。

すぐにとは言わないから、モリゾーさんがいなくても、“ぴょんすがいるから平気だな”って思われたい。そうしてしっかり自分の実力をつけて認めてもらえるような人間になれたら、ゆくゆくは何年後、何十年後になっても構わないので、いつか自分のお店を持つのが夢です。

そのためにもいろんな人と出会って、話して、お酒を飲みたいですね。もしかするとギャングの仕事の中で良い出会いがあるかもしれないし。

結局何事もタイミングと人との出会いだと思うので。だから人との出会いはこれからも大切に楽しんでいきたいです。 高円寺は良い人との出会いと、いろんなタイミングに溢れかえっている街だと思うので!

「ぴょんす」プロフィール

ぴょんす

高円寺出身・高円寺在住。元警察官の元佐川急便。
高円寺の立ち飲み屋『串カツ玩具-GANG-』で働いています!

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ライタープロフィール

伊藤夏希 

1998年生まれ。宮崎県宮崎市出身、高円寺在住。 
武蔵野音楽大学演奏学科を卒業後、サラリーマン・ライター・写真家・ピアニスト・ピアノ講師・YouTuberとして活動中。

8月27日 ピアノ&サックスコンサート『seaside motel』
9月17日 ピアノソロコンサート『長月、思い出にするには勿体ない』
10月15~31日 写真展『陽炎は終わらない』を開催予定。 

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