高円寺の “ 庶民派 ” 女王・のうじょうコラム vol.30 ~ どこにでも楽しみはある ~

文章:のうじょうりえ
高円寺

あなたにとって「良い暮らし」とはどのようなものですか?

”高円寺の女王”と物騒なキャッチコピーで呼ばれつつも、
超庶民派ミュージシャンのうじょうりえが
高円寺の目線で「良い暮らし」を伝えていく

高円寺の”庶民派”女王・のうじょうコラム

8月度お送りします(^^)

どこにでも楽しみはある

引っ越したと先月コラムに書いたのだけど、実は以前の家もかなり気に入っていて度々書いてきた。
前の家はすごく古いアパートで和室があった。
隣のアパートに蔓延っていたカラスウリの蔦がこっちまで侵略してきて、勝手にグリーンカーテンができて窓が開かないほどだった。
虫が増えるこの時期になると、そのグリーンカーテンの裏にヤモリが毎年やってきて張り付いていた。
電気をつけると余計虫が寄ってきてそれを食べていたので、ほぼペットだった。
日当たりがばちくそ良い上に木造なので暑いけど、夏のよく似合う部屋だった。

そんな家から引っ越し新居にも慣れてきた訳だけど(よく悪夢を見るから実はまだ慣れてないのかも笑
事故物件ではないので暑さで寝苦しいせいということにしておこう)
住めば住むほど、どんどん良い所が見つかる。
住めば都と言うのは正にこれだ。
例えば変な所にでっぱりがあればそこに何か置いたり掛けたりできたりするし、
洗濯機置き場が微妙な所にあるお陰で後ろにデッドスペースができても、そこに物を置いたら実質目隠しできたりするし。
不便な部分があっても使い方考え方によっては意外と便利じゃん、となる。
わたしが部屋のこだわり少ないのもあるけど、これがあれば、もっとこうだったら、みたいな気持ちにはほとんどならない。
強いて言うならお風呂場の窓の覗き見防止柵みたいなのを外して、お風呂の日当たりを良くしたいくらい(絶対あった方がいい)

元々気に入って選んで今の家に住んだので、はなから都ではあったんだけどね。
気になって住めば都の言葉の由来を調べたんだけど
「様々な事情で都から地方へと移り住んだ人々は、最初は不安や絶望を抱えつつも、暮らしているうちにその土地の風情や人情などを知り、居心地がよくなったのでしょう。こうしたことが由来となって、住めば都という言葉が生まれたと考えられています」
とのことだったのでわたしにぴったりの言葉だ。
高円寺住んでるのも、土地の雰囲気や人が好きって理由が大きいから。

住めば都は人に限ったことではなさそうで、一緒に引っ越した植物達も。
ベランダが狭くなったというか最早なくなったので、力技でなんとか置いているプランターから朝顔とルコウソウがめきめき育っている。
どちらもツルが伸びるタイプの植物なんだけど、まじで狭すぎてとうとうミックスツイストしていた。
六畳一間に無理矢理シェアハウスしてる人達みたいだ。
そんなことお構いなしに朝顔の花が毎日咲いてる。
朝顔を育てる夏は3年目になるけど、あまりに早い時期に咲き出した心配をよそに今年は過去最高の花の数だと思う。

小さな森っぽいのができた

引っ越しの際枯れてしまった球根も、ダメ元で1度茎を切って植え直してみたらなんと
開花した!!!
諦めないことが大事って教えてくれたゼフィランサス。
すごくかわいい。
というか写真もなんかめちゃくちゃ上手く撮れた。
美人は何しても映える。

前の家のようにヤモリがやってきたりは今の所ないけど、雨が降ると玄関前にカタツムリがいたりする。
大体ドアの目の前にいらっしゃって事故が起きそうなので、端っこにご移動をお願いしている。
団体様なこともあるので家庭が出来上がっているかもしれない。
カタツムリなんてその辺でも見かける機会あまりないので、出掛けるとき帰ってくるときテンションが上がる。

どこにでも楽しみはある。
無理に楽しむ必要はないんだけど、どうせならいる場所で楽しいことを探したいし、どうしたら楽しめるか考えて過ごしてみたい。
楽しいか楽しくないかは何かのせいじゃなくて、ほとんどは自分次第な気がしてる。

無駄なようなこと

無駄使いというけれど、どこからが無駄でどこからが無駄じゃないんだろう。
今更というかこんな時代に、CDプレーヤーをゲットした。
頂いたCDや買ったCDが家に沢山あるのに、再生する機械はパソコンくらい。確認程度で音楽を聞く為の物ではないという感じ。
引っ越したての部屋も整ってきたので、年季の入ったCDプレーヤーでも欲しいなあと思い高円寺のハードオフを覗いてみた。
そしたらなんとこんなにイケてるプレーヤーを発見。

レコードプレーヤーみたいな洒落た形をしているだけでポイント高いのに、CD入れるところを取り外してウォークマンとしても使えて、Bluetoothも繋げられるので携帯の音源をスピーカーから流すこともできる。
割と最近作られた物なのか、とにかく高性能すぎる。求めていたものがこれ1つで完結するじゃん。
更に細かいこと言うとスピーカーの音そこそこ良いんだけど、ちゃんと昔のラジカセとかプレーヤーみたいな若干の荒さも感じられてすごく丁度良い。

昔はCDとかMDとかで音楽を聞きまくっていたので、懐かしさはもちろんあるんだけど
それを抜きにして、盤から音楽聞くのってこんなに気分が良いんだって思い出した。
そうだよな。わたしを支えてくれた音楽ってこの薄くて簡単に折れちゃいそうな1枚だったよな。
今はお金を掛けずに音楽が聞けるし、お金をほぼ掛けずに音楽をネットに上げることもできる。
そもそもCDが売れ辛いのに、なんでわざわざお金とか時間とか手間をかけてCD作るの?って言われるとはっきり理由は言えない。
ただ遠回りして作ったCDが人の手に直接渡り聞いてもらって、あの人の日々が少し豊かになるかも、そのお手伝いがもしかしたら出来るかもって想像したら、やっぱりCDには意味があると思った。
わたしが救われてきたようにあの人を救えたらいいな。

そんな風に考えていた日、レコーディングの予定が諸事情でなくなったのでサポートギターと飲みに行った。
わたしは今まで自分の気持ちとか話し切れていなかったかもしれない。
音楽に対しての気持ちを沢山話した。
レコーディングの為に1日予定を空けてもらっていたし、ギターのフレーズを考えたり弦を張り替えたりしてくれていて、
わたしも予定と体を整えていたので無駄になってしまった1日とも捉えられるんだけど
腹を割ってゆっくり話せて、何となく色んなことが良い方に向かっていく気がしたんだ。
だから今日予定が変わったことも無駄じゃないって思っちゃった。
彼には申し訳ないけどね、同じようなこと思ってくれてることを願う。
無駄なようなことも本当はきっと何1つ無駄じゃないんだよね。

ネットで検索するだけじゃ聞けないCDプレーヤー。
かさ張るCDを買って、CDを入れて、再生ボタンを押して。
音楽を聞くまでに面倒臭い過程を踏みながら、同時に早く聞きたいワクワクが詰まってる。
こんな気持ちにさせてもらったのもこれのお陰。
何度でも思い出していきたい。


次回は、9月初旬の更新予定です。

ライタープロフィール

のうじょうりえ

千葉県出身、高円寺発。
キャッチコピーは人間大好きシンガーソングライター。
「高円寺の女王」の異名も持つ。

コロナ禍現在も東京を中心に月10本前後のライブに加え、路上ライブ、配信、遠征ライブなど精力的に活動。
音楽で生計を立てている。

高円寺を愛し盛り上げたいという思いと、高円寺駅を土日祝日も快速が停まる街にしたい、という秘かな野望がある。

地元千葉への愛も忘れず、台風15号の際チャリティー路上ライブを行い、集まった¥83,890を千葉県へ全額寄付している。

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