太田プロダクション所属のお笑いコンビ センチネル。2020年に結成されて以来、着実に実力をつけ、近年では『ツギクル芸人グランプリ』や『ABCお笑いグランプリ』で決勝に進出するなど、賞レースでも確かな存在感を放っている。また所属事務所が主催する熾烈なネタバトルライブ「太田プロライブ月笑」においては、前人未到の7連覇という快挙を成し遂げ、今最も勢いに乗る若手芸人の一組として熱い視線を集めている。
そんなセンチネルのツッコミを担当するのが、今回取材した大誠氏。舞台上ではダイナミックなツッコミと存在感で観客を魅了する彼だが、素顔は義理人情に厚く、そしてどこか人間くさい愛嬌に溢れている。
お笑いの道へ進んだ意外なきっかけから、彼がこよなく愛する「高円寺」という街でのリアルな日常、ルームシェア生活の裏話、そしてセンチネルとして見据える今後の目標まで、たっぷりと語ってもらった。
目次
お笑いの道へ進むまでの異例の経歴と、太田プロ所属までの軌跡

ー もともと小さい頃からお笑いが好きだったのでしょうか?
大誠:実は芸人を始めてみたら全然お笑いのことを知らないなって気づいたんですよ。昔からお笑い番組を熱心に見ていたわけじゃなかったんですよね。ただ『M-1グランプリ』とかはちょこちょこ見てたんですけど、他の芸人に比べたら全然知識がない状態で芸人を始めてました。極端な話、昔はとんねるずさんとさまぁ〜ずさんくらいしか見てきませんでした。
ー 意外ですね!ご家庭の環境などが影響していたのでしょうか?
大誠:そうですね、親父が厳しかったのであんまりテレビを見せてくれなかったんですけど、その2組の番組だけは観てたんですよ。ちっちゃい子ながら、普段は厳しくて無口なタイプの親父がテレビを見て笑っているのを見て、「親父を笑わせてるのすげえな」って思ったんです。
ー お笑いはいつから始めたんですか?
大誠:お笑い自体は大学を出てから…というか、大学を中退してから始めましたね。大学生の時、当時の相方が高校の同級生だったんですけど、誰でもエントリーできるようなインディーズのライブに出たんです。その当時、虹の黄昏さんがMCをやっているような、早稲田クローバスタジオのライブとかに出てました。でも、その相方が2、3回ライブに出ただけで心が折れちゃって、就職することになったんです。
ー 最初はそこからのスタートだったんですね。
大誠:昔「お笑い芸人やりたい」って友達に言った時に、「俺らみたいなやつは無理だろ」って言われたことがあったんです。「もっとエースで4番みたいな、クラスの人気者とか太陽みたいなやつがお笑いをやるんだよ」って言われて。僕はちょっと不真面目な学生だったんで、それを言われて一度は諦めてたんですけど、その高校の同級生に誘われて「なんだ、俺がやっていいんだ」ってなって始めたのに、誘ってきた本人が辞めちゃって…
ただもうもう僕は本気でお笑いやりたくなっちゃってるから「人気者が必要なんだな」と思って、うちの学校で一番人気だった明るい男を誘いました。そいつはちょうど就活中だったんですけど、「もうちょっと就活なしにしろ」「俺とお笑いやれ」って言って引っ張ってきましたね(笑)
ー すごい行動力ですね! そこからセンチネル結成に至るまでは、どのような経緯があったんですか?
大誠:結局、その明るいやつとも解散しちゃったんです。そのあと同期の山田ボールペンっていう作家がいるんですけど、そいつが1年目の時にいろんな事務所の芸人を集めてライブをやってくれたんです。そこで、前にコンビを組んで活動していた富里(トミサット)と知り合いました。お互いにコンビを解散したタイミングが重なって、組んだのが2020年ですね。ただその最初に話した虹の黄昏さんがMCのライブに出た時に、初めてプロの凄さを見せつけられて感動したというか、、そこから今に繋がっている気がしています。
高円寺での暮らしと、芸人仲間たちとのディープな日常

ー 現在は高円寺でシェアハウスをされているんですよね?
大誠:今は東高円寺の方で芸人仲間たちとシェアハウスしているんですが、最初東京に上京したときは方南町に住んでいました。地元の埼玉にずっと住んでいて、23歳で上京したのでちょうど10年前くらいですね。でも、方南町に住んでいた時から高円寺によく来ていて、ずっと高円寺で遊んでいたので、気持ち的にはずっと高円寺ですね。
ー 埼玉から上京する際、なぜ高円寺周辺を選んだんですか?
大誠:生まれ育ったのが埼玉で、埼玉の中でしか生きてこなかったんですよ。大学は東京だったけど車で通っていたんで、乗り物文化すぎて電車で東京に遊びに行くこともなくて。芸人をやるために東京に住むってなった時、僕、池袋すら行ったことなかったんですけど、なんとなく「高円寺に住みたい」っていう憧れはあったんです(笑)
ただ、家賃とかの条件で探したら、僕が方南町に引っ越した物件と、新高円寺らへんの甲子園ぐらい草生えてる家の2個しかなくて。「ちょっとこれはさすがに…」ってなって、家賃も安かった方南町になりました。
ー 今はどんなメンバーでルームシェアをされているんですか?
大誠:今は青色1号の榎本さん、群青団地の横、ハマノとヘンミのヘンミ、そして僕の4人暮らしで、全員太田プロの4人です。ルームシェアをはじめてから結構みんな調子良くて。青色1号さんが『キングオブコント』の決勝に進んだり、僕らも『ABCお笑いグランプリ』と『ツギクル芸人グランプリ』の決勝に行けたり。ハマノとヘンミも『ビートたけし杯』で優勝してるので、引っ越してから本当にみんな調子いいですね。仲は全然良くないんですけどね(笑)
昨日はみんなでサッカーとキャッチボールをしましたけど、そういうことはやるけど、あんまり一緒に住んでるって感じはないかな。
ー 一緒にサッカーをしてるなら十分仲良しに見えます(笑)皆さんで飲みに行かれたりも?
大誠:たまに行くぐらいですかね。この前『ツギクル芸人グランプリ』の準決勝があった日はみんなで飲みに行きました!僕自身はお酒がめっちゃ好きなんで、休みの日は飲んでるか、自分で飯を作ってるか、スポーツ見てるかですね。意外と趣味はある方かもしれないです。飲む場所でいうと、もう9割は高円寺周辺です。ひとりで行っちゃうんで、打ち上げとか大人数の飲み会はあんまり行かないですね。ほんとふらっと来て、なんか食いたいものとちょっと何杯かだけ飲んで、みたいな。
ー 高円寺でお気に入りのお店はありますか?
大誠:いろんなところに行きますけど、1人で一番行くのは中華屋の『福来門』ですね!あそこは安くてタバコも吸えるからよく行きます。あとは『バーンイサーン』でカオマンガイをよく食っていますし『馬力』もなんやかんや多いです。
ー お世話になっている先輩芸人の方々と飲みに行かれることも多いですか?
大誠:事務所内だと、納言のみゆきさんと、ストレッチーズの高木さん、タイムマシーン3号の関さん。この3人にはかなりお世話になってます。みゆきさんは、ひどい時ほんと週4とかで飯食わしてもらって(笑)みゆきさん全然食べないのに、僕がバカみたいに飯食って。
家の冷蔵庫もみゆきさんが引っ越し祝いで買ってくれたし、米を送ってくれたり、本当に実家の親みたいにお世話になってます。
他事務所だと、オズワルドの伊藤さん、トレンディエンジェルのたかしさん、演芸おんせんの矢巻さん、ママタルトの肥満さん、スタミナパンのおふたりにも、めっちゃ飯食わしてもらうことが多いです。僕が金ないけど太ってられるのは、先輩に飯食わしてもらえるからなんですよね、だから体型も維持できています(笑)
あと、にぼしいわしのいわしさんにもお世話になっていて。去年『M-1グランプリ』の敗者復活戦でうまくいかなかった時、みんな「面白かったよ」とか慰めてくれたんですけど、いわしさんだけは「いや、センチネルが敗者復活にいってもセンチネルのままで嬉しかったな」って仰ってくれて、僕らのスタイルを分かってくれて、あの時はだいぶ救われましたね。
賞レースへの思いと、センチネルが描く今後の目標
ー 先ほどお話にも出ましたが、去年の『M-1グランプリ』敗者復活戦はいかがでしたか?
大誠:いや〜、最初の掴みで変なこと言っちゃって、本来の掴みと逆で、離しをやってしまったんです。国民に無視されながら話し始めてしまって、ちょっとアウェイの状態から頑張りましたね(笑)
ー それでも、センチネルさんはどの賞レースを見ても常に名前を見るイメージがあります!ご自身では手応えを感じていらっしゃいますか?
大誠:結成が2020年からなので、ちょうど6年ぐらいになりますけど、勢いは全然なくて、めちゃくちゃゆっくりですよ。本当にちょっとずつ進んでいる感覚です。ただ、今年のダブル決勝はちょっといい調子にきているのかなと思いました。あとは太田プロの事務所ライブ「月笑」の7連覇も、結構波がきてるんじゃないかなと。7連覇はこれまでなかったらしいので。何度も「いやもうさすがに連覇は無理かな」と思ってたんですけど、達成できたんで、完全にいいループなんじゃないかって。
ー 漫才のスタイルも、コンビの中で完成されてきているんですか?
大誠:やっぱり相方の富里がめっちゃ試行錯誤してくれているのが大きいです。僕は結構不器用で、いつもツッコミが単調になっちゃうんですよね。それは僕の良くないところで変えようとはしてるんですけど。ネタ作りの中心は富里で、ぶつかることもたまにありますけど、大体あいつのお笑いの感覚が合ってるから、そこは結構信頼してますね。
ー お忙しいと思いますが、お休みは取れていますか?
大誠:全然ありますよ!ありますけど、丸1日休みっていうのはあんまりないですね。ライブも夜だけなのでそんなにしんどいとかはないんですけど…僕、体めっちゃ弱くてすぐ風邪ひいちゃうんですよ(笑)こんな体格してんのに、ひどい時、月1回ぐらい風邪ひくからまじでめっちゃ弱くて。ただ、衝撃とかには強いですけどね。昔、車に轢かれたことあるんですけど、その時も「大丈夫です大丈夫です」って言ってそのままライブ行ったし。轢かれたのには耐えられるけど、体質はめちゃめちゃ弱いです。
ー 車に轢かれてそのままライブに!?賞レースでも確実にステップアップされていますが、今の目標はどのように描いていますか?
大誠:去年の『ABCお笑いグランプリ』もかなりトラウマになるくらいスベって……決勝や準決勝には行けてるけど、まだ生放送でウケたことないんですよ。ゼロ票だったし、完全にスベったし。2年前の『ツギクル芸人グランプリ』もゼロ票で負けて。
そのとき、芸人やる前からの地元の友達である豆鉄砲と一緒に決勝に行けて嬉しかったんですけど、僕らは敗退して、エバースさんが勝ち上がって。悔しい中で「これから頑張っていこう」って話してたら、その矢先に豆鉄砲が優勝したんです。そのときちょっと気が引き締まったというか、頑張らなきゃなって気持ちはより増しましたね。今年は今のところツギクルとABCどっちも決勝に行けたんで、ここで優勝を取りたい気持ちはあります!

ー ちなみにSNSが苦手と言ってましたが、今も変わらず?
大誠:僕、特技とかも本当にないんですよ。モノマネとかもないし。今ってそういうのめっちゃ大事じゃないですか、SNS強いとか。本当に僕、自分でもなんでこんな感じなのか分かんないですけど、SNSが好きじゃなくて。唯一、最近ゲーム配信だけちょっとやってるくらいで。だから賞レースで優勝できれば、SNSをやらない言い訳ができるかなって。万が一僕らが『M-1』で優勝するようなことがあれば、そのタイミングでSNSやめようかなと思ってます(笑)
ー 今はシェアハウスに住んでいますが今後一人暮らしをしたり、高円寺を出る予定はありますか?
大誠:もうルームシェアは本当に嫌で、めっちゃ出たいんですけど(笑)全部はしょって言うと、ヒコロヒーさんから100万円もらって引っ越したんですよ、あの家。しかも「オズワルド伊藤ハウス」っていうYouTubeチャンネルもあって。伊藤さん全く関係ないのに(笑)
そんな背景があるから、めっちゃ売れるまでは出れねぇなと思ってます。やっぱ売れないと恩返しにならないんで、売れるまで僕は住み続けますね。
ただ、もし出るにしても、高円寺がダントツぶっちぎりで好きな街なんで、お金持ちになっても多分高円寺に住みます。本当のお金持ちになったら地元に帰りますけど。でも、東京で一番好きなところは高円寺ですね。雰囲気が最高じゃないですか。とにかくみんな緊張感がない。何の緊張感もないみんながギリギリで生きてるから、それが好きですね。だいぶだらしないから(笑)
ー 最後にセンチネルとして、これから目指す芸人像はありますか?
大誠:これ問題なのかもしれないですけど、誰かみたいになりたいなっていうのはあんまりなくて。シンプルに僕、たまに「自分のこと死ぬほどつまんなかったな今日」みたいに思う時があるんで、それがなくなればいいなって感じですかね(笑)
あと今、太田プロで結構ポジションが空いてて。宮下草薙さんが一番近い芸歴でメディア露出が多くて、納言さんもそうですけど。太田プロの僕らぐらいの芸歴の人って、めっちゃ面白い人が多いんですよ。だから、僕らが引っ張るっていうタイプじゃないですけど、今こうして賞レースの決勝に行けているうちに結果を残して、太田プロの若手みんなでもっと大きくなれればと思ってます。僕らが頑張って結果を出すことで、もっと太田プロの若手にスポットライトが当たればなと。もちろん、賞レースも勝ちたいので、それも目標です!
【センチネル・大誠】プロフィール

センチネル 大誠
1993年、埼玉県出身。太田プロダクション所属。
2020年7月に「センチネル」を結成。太田プロダクションの事務所ライブ「月笑」においては前人未到の7連覇を達成。「ABCお笑いグランプリ」や「ツギクル芸人グランプリ」といった主要な賞レースでも立て続けに決勝進出を果たすなど、今勢いに乗る実力派コンビとして高い評価を得ている。
【取材執筆・写真家 伊藤夏希】プロフィール

伊藤夏希
1998年、宮崎県生まれ、高円寺在住。
武蔵野音楽大学を卒業後、写真家 / 音楽家として、東京・宮崎を拠点に活動する。
2023年に開催した初の写真個展「この街で生きた、あの頃のこと。」を機に、これまでに計7回の写真展を行うほか、“伊藤日記”での名義でカフェやイベントを中心とした演奏活動、音楽配信も行う。
2026年6月23日〜30日、下北現像所にて8回目となる写真展「ピザ、廃墟、船を漕ぐ」を開催。


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